エルダー2022年6月号
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2022.650て受給開始時期を選択できましたが、改正後は、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大にあわせて、上限年齢を75歳に引き上げました。また、確定給付企業年金(DB)については、改正前は一般的な定年年齢をふまえ60歳から65歳の間で労使合意に基づく規約において支給開始時期を設定できましたが、改正後は、企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするため、支給開始時期の設定可能な範囲を70歳までに拡大しました(図表9)。(4)確定拠出年金の制度・手続き上の改善①中小企業向け制度の対象範囲の拡大中小企業の企業年金実施率を高めるため、中小企業向けに設立手続きを簡素化した「簡易型DC」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出できる「中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)」について、制度を実施可能な従業員規模を100人以下から300人以下に拡大しました(図表10)。②企業型DC加入者の個人型DC(iDeCo) 加入の要件緩和等(2022年10月)改正前は、企業型DC加入者のうちiDeCo(月額2・0万円以内)に加入できるのは、iDeCo加入を認める労使合意に基づく規約があり、事業主掛金の上限を月額5・5万円から3・5万円に引き下げた企業の従業員に限定図表6 65歳未満の在職老齢年金制度の見直しのポイント総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額)÷12基本月額 :加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金(退職共済年金)の月額改正前改正後(2022年4月)・ 総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が「28万円」を超えない場合 →年金額の支給停止は行われない。・ 総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が「47万円」を超えない場合 →年金額の支給停止は行われない。・「28万円」を上回る場合 →年金額の全部または一部を支給停止。〈支給停止額の計算式〉(省略)・「47万円」を上回る場合 →年金額の全部または一部を支給停止。〈支給停止額の計算式〉(総報酬月額相当額+基本月額―47万円)            ×1/2×12図表7 年金受給開始時期の選択肢の拡大改正前改正後(2022年4月)受給開始年齢の範囲60歳から70歳60歳から75歳60歳以上65歳未満くり上げ0.5%/月(最大▲30%減)0.4%/月(最大で▲24%減)くり下げ65歳超70歳0.7%/月(最大+42%増)0.7%/月(最大で+42%増)70歳超75歳―0.7%/月(最大で+84%増)図表9 確定拠出年金・確定給付企業年金の受給範囲の拡大改正前改正後確定拠出年金(企業型DC、個人型DC)60歳から70歳の範囲(2022年4月施行)60歳から75歳の範囲確定給付企業年金(DB)60歳から65歳の範囲で労使合意の規約(公布日施行)60歳から70歳の範囲で労使合意の規約図表10 確定拠出年金に関する中小企業向け制度の対象範囲の拡大改正前改正後(2022年10月)従業員規模100人以下300人以下※図表6~10すべて筆者作成図表8 確定拠出年金の加入要件の拡大〈企業型DC:厚生年金被保険者〉年齢・事業所改正前改正後(2022年5月)65歳以上70歳未満―加入可60歳以上65歳未満60歳前と同一事業所勤務は加入可(撤廃)60歳未満加入可加入可第1号20歳以上60歳未満の自営業等第2号民間会社員等の厚生年金被保険者第3号20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者の被扶養配偶者改正前改正後(2022年4月)改正前改正後(2022年4月)改正前改正後(2022年4月)65歳未満60歳以上―※任意加入者の加入可―加入可―※任意加入者の加入可60歳未満20歳以上加入可加入可加入可加入可加入可加入可20歳未満――加入可加入可――〈個人型DC(iDeCo):国民年金被保険者〉(注)任意加入者:保険料納付済期間等が480月未満の者(65歳未満)

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