エルダー2022年7月号
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高齢者雇用の現状~雇用と就業の状況ることが義務づけられていることです。つまり、65歳まで自社あるいは自社のグループ企業で「雇用」する場を設けることが企業に求められています。新高齢法では、上記の雇用確保措置に加えてして図表2の下段に示す五つの制度のいずれかを「高年齢者就業確保措置」(以下、「就業確保措置」)として講じる努力義務が新たに設けられました。旧高齢法と比べた新高齢法の主な特徴は次の2点です。第1は「自社グループ外での継続雇用が可能になった」ことです。③の継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入について、雇用確保措置では60歳以上65歳未満は自社と特殊関係事業主(自社の子法人等、親法人等、親法人等の子法人等、関連法人等、親法人等の関連法人等)のみでしたが、就業確保措置ではえて、「他の事業主」が追加されました。すなわち、自社の高齢者が継続雇用制度で働く場が自社や自社グループにとどまらず他社や他社グループ企業に拡大された点です。第2は「雇用によらない働き方」が可能になったことです。就業確保措置の①~③の制度はこれまでの自社あるいは他社で「雇用される働き方」なのに対し、④と⑤の制度は「雇用によらない働き方」で「創業支援等措置」と呼ばれます。④は会社から独立して起業した者やフリーランスになった者と業務委託契約を結んで仕事に従事してもらう方法、⑤は企業が行う社会貢献活動に自社の高齢者を従事させる方法です。働く人たちの多様なニーズに応えた働き方が誕生していますが、高齢者でも同様のニーズが高まることも考えられ、今回の改正で創業支援等措置が設けられました。この創業支援等措置を導入する場合、企業は過半数労働組合等※1の同意を得て導入することが求められます。での「雇用」に限定せず、他社での雇用やフリーランスとしての業務委託などの働く場の選択肢が示されていることから「就業」と呼ばれています。ましょう。図表3は高齢法の改正にあわせた2006年(2004年改正の「高年齢者雇用確保措置義務化」の施行)、2013年(2012年改正の「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」の施行)、2020年(高年このように65歳以降は自社(自社グループ)高齢者雇用の現状を政府統計から確認してみ9図表2 新高齢法の概要(注)「特殊関係事業主」とは自社の子法人等、親法人等、親法人等の子法人等、関連法人等、親法人等の関連法人等を示す(出典)厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf)をもとに作成※筆者作成※1 過半数労働組合等とは、労働者の過半数を代表する労働組合がある場合には労働組合を、労働者の過半数を代表する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者をそれぞれさす①65歳までの定年引上げ②定年制の廃止③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主(注)によるものを含む)①〜③のいずれかの措置を講ずること①70歳までの定年引上げ②定年制の廃止③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入 a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業 b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業①〜⑤のいずれかの措置を講ずること65歳以上70歳未満の高齢者に対してそれらに加70歳までの就業機会を確保するため、企業に対 雇用措置 (雇用される働き方) 創業支援等措置 (雇用によらない働き方)制度高年齢者雇用確保措置義務高年齢者就業確保措置努力義務内容

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