エルダー2022年7月号
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おわりに~65歳以降の高齢者雇用の基本戦略と65歳定年制(52・6%)、2013年(58・9%)、2020年(71・0%)と右肩上がりの増加傾向にあり、そのなかでも2013年から2020年までの7年間の上がり方(58・9%→71・0%:12・1ポイントの増加)は2006年から2013年へのそれ(52・6%→58・9%:6・3ポイントの増加)と比べて大きく、多くの企業で一般的な定年年齢の60歳をむかえた高齢者が引き続き働いている状況にあることがわかります。実質65年定年をむかえた後の60歳代後半層(65~69歳)の3時点の就業状況の推移についても、向、②2006年から2013年の上がり方に比べて2013年から2020年までの上がり方が大きいこと)が確認されます。60歳代前半層の就業状況が増えているのは年金受給開始年齢の引上げがかかわっていますが、それだけではなくライフスタイルの変化もかかわっており、60歳代後半層の就業状況の推移――水準はと――を物語っています。2020年現在、65歳以上の約4人に1人(25・1%)が、70歳以上は約5・6人に1人(17・7%)が働いている状況にあります。このように高齢者雇用は70歳就業時代に向けた対応が求められています。平成期を通して形成された実質65歳定年制のもと、60歳代前半層の約7割が就業しており、ます。さらに、60歳代後半層の就業状況も約5割に達しており、70歳までの就業環境の整備が企業に求められつつあります。そこで、最後に今後の高齢者雇用の課題として大きく2点を取り上げます。一つ目は、65歳以降の高齢者雇用の基本戦略を決めることです。高齢者雇用の歴史をふり返ると、企業では高齢者を「自社内」で「雇用」して活用する対応(自社雇用型)がとられていました。これまで改正された高齢法は企業に雇用確保措置を求めていたことが背景にあります。しかしながら、新高齢法は雇用確保措置に加えて、努力義務ですが就業確保措置を設けることを企業に求めています。すなわち、他社での雇用やフリーランスとしての業務委託などによる対応(社外就業型)が可能になったのです。そのため、実質65歳定年制のもとで企業は70歳までの就業機会を考える際には65歳以降の高齢者雇用の基本戦略を自社雇用型とするのか、社外就業型とするのか、あるいはその組合せとするのかを決めることから始めることになります。なぜなら、社内雇用型をとる場合と社外就業型をとる場合とでは、次にとる対応が異なるからです。つまり、社内雇用型をとる場合は、60歳代後半層の人事管理の整備が、社外就業型の場合には社外で活躍できるための支援の取組みが必要になります。二つ目は65歳定年制です。も受けており、現在、年金の支給開始年齢が2013年度から2025年度にかけて60歳からた動きにあわせて近年、定年年齢を65歳以上に引き上げる企業が増えており、また、昨年6月には国家公務員の定年を65歳へ引き上げる国家公務員法等改正法が可決・成立しました。「実質65歳定年制」のもと、70歳就業をどう考えるかが今後の高齢者雇用の課題となるものの、これまでの年金制度と高齢法改正の歴史をふり返ると、いずれは65歳定年制の義務化が考えられます。70歳就業時代に向けて65歳定年制導入の動きが今後加速することが予想され、65歳定年制のもとでの60歳代前半層の人事管理の整備が高齢者雇用における新たな課題として考えられます。高齢者雇用は高齢法に加えて年金制度の影響1160歳代前半層が低いものの、増加傾向にあるこ60歳代前半層と同じ傾向(①右肩上がり増加傾65歳へ段階的に引き上げられています。こうし65歳まで働くことが日常の光景となりつつあり

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