エルダー2022年7月号
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職場改善に役立つツール『エイジアクション100』安心・安全につながる研修機会の確保運動プログラムを取り入れている事業所もあります。日ごろから体力増進に努めましょう。次に外的な要因として、転倒災害につながる職場環境について考えてみます。まず注意しなくてはならないのは段差や出っぱり、滑りやすい床面など、転倒につながる不安全な環境です。職場のなかですべての段差や出っぱりをなくすことはなかなかむずかしいと思いますが、取組みの最初の段階では、よく利用する通路などを対象として安全管理者や産業医と巡視を行い、転倒につながりそうな職場環境になっていないかチェックしてみましょう。また、明るさも重要なファクターです。明るさが十分でないと段差や出っぱりなどを見落とし、転倒につながることがありますので注意しましょう。職場における腰痛予防や転倒災害対策をはじめ、高齢労働者に配慮した職場改善に役立つツールとして『エイジアクション100』があります。このツールは、高齢労働者の安全と健康確保のためにどのような対策を行えばよいのかをチェックリスト形式で進めていくことを想定したアクション型チェックリスト(具体的な取組みを明示したチェックリスト)になっています。例えば、転倒防止の項は(図表4)、「通路の十分な幅を確保し、整理・整頓により通路、階段、出入口には物を放置せず、足元の電気配線やケーブルはまとめている」というチェック項目があり、項目の内容が実施・実現できていれば、結果欄に〝○〟、実施できていない場合には〝×〟をつけます。さらに〝×〟の場合には、改善の優先度を記入する欄も設けられています。このほかにも、現場での職場改善に役立つチェック項目や改善のためのヒントが盛り込まれていますので、PDCAサイクル※5のもとで定期的・継続的に活用しましょう。かわらず、だれもが安心・安全に働くために大切なことです。その取組みを有効なものにしていくためには、職場の全員が労働災害の防止に関心を持ち、自分たちの職場をよくしていこうとするボトムアップ型の取組みが重要です。また、経営側においても、労働災害防止対策に取り組むことをきちんと方針化し、確立された安全衛生管理体制のもとでさまざまな取組みが有機的に行われるようにするトップダウン型の推進体制の構築も欠かせません。アティブをとり、さまざまな機会を通じて高齢労働者に配慮した職場づくりに関する研修を実施していきましょう。職場での労働災害を防ぐ取組みは、年齢にかそのためにも、安全衛生委員会などがイニシ27図表4 高年齢労働者に多発する労働災害の防止のための対策通路の十分な幅を確保し、整理・整頓により通路、階段、出入口には物を放置せず、足元の電気配線やケーブルはまとめている。床面の水たまり、氷、油、粉類等は放置せず、その都度取り除いている。階段・通路の移動が安全にできるように十分な明るさ(照度)を確保している。階段には手すりを設けるほか、通路の段差を解消し、滑りやすい箇所にはすべり止めを設ける等の設備改善を行っている。※5 PDCAサイクル……Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階をくり返し行い、業務を改善していくサイクルのこと出典:中央労働災害防止協会『エイジアクション100』(1)転倒防止①つまずき、踏み外し、滑りの防止措置 6789結果優先度

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