エルダー2022年7月号
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沖田の死母■澤■寛■さん原作の「新選組始末記」■■■  爺■が死んだので、思い出を集めて私には一時期、テレビの時代劇脚本を書いていた時期がある。子■だ。そのことを知っている人物が一、二年前に私を訪ねてきた。 「新選組で沖田総司を演■らせていただいた俳優のAの悴■です。父の最後のシーンをおぼえていらっしゃいますか?」 「トラウマになっていますよ。よくおぼえています」 「再現していただけますか。親■いるのです。ぜひお話をうかがいたくて」 「沖田総司の最後を再現すればいいのですね。わかりました」私もキライではないのですぐ乗った。以下はそのシーンをシナリオ風に書く。1  場所は沖田の病室。衰弱しきった沖田が寝ている。もう起き上がれない。病室の外の庭の塀には沖田が可愛がっている黒猫が乗っている。沖田を見てはいるが近寄らない。まもなく沖田が死ぬのを知っているからだ。2  沖田にはそれがわかる。くやしい「猫のヤロー、オレが死ぬのを待ってやがる。恩知らずめ!」■■2022.738[第116回]

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