エルダー2022年7月号
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Q2公益通報者保護法について公益通報に該当する場合には、これにより不利益取扱いが禁止されているため、公益通報の該当性をまずは検討する必要があります。また、公益通報に直接該当しないとしても、解雇権濫用の判断にあたっては、公益通報者保護法の趣旨から効果が限定されることがあります。会社の役員および責任者の取り扱った取引などについて、会社に対する背任に該当するといった通報を行ったことから、当該通報者については、企業秩序を乱した行為に該当する者として、懲戒解雇を検討していますが、問題あるでしょうか。内部通報者の取扱いについて知りたいおいては、使用者が定める退職金規程については、中退共からの支給額と矛盾がないように定めておくこと、退職金の支給額が中退共からの支給額を上回る場合には、中退共から1公益通報者保護法が2020(令和2)年6月8日に改正され、今年の6月1日に施行されました。今回は、公益通報者保護法の概要をあらためて整理したうえで、公益通報にまつわる解雇に関する裁判例を紹介しようと思います。なお、詳細については、本連載第の支給額が退職金の支給総額から控除されることなどが明らかになるように定めておくことが重要と考えられます。ますので、参考にしてください。公益通報者保護法とは、簡単にいえば、社内における自浄作用を働かせて、コンプライアンス遵守の体制を整えることを目的とした法律です。自浄作用を働かせようとした内部通報者が解雇されるなどすれば、それをおそれてだれも内部通報をしなくなってしまいます。そのため、公益通報者保護法では、内部通報者を法的な不利益取扱いから保護することに主眼が置かれており、また、内部通報者が特定されてしまって、事実上の不利益取扱いを受けることも回避できるように、匿名性を確保することも重視されており、通報者の情報については秘密保持義務も重要とされています。を超える企業に対して、公益通報を受け付ける窓口の設置を義務づけ、当該窓口にて従事する者を定めることが義務づけられました。また、当該窓口にて従事する者は、守秘義務を負担することが法律上明記され、罰則をもってこれが強制されています。体制が整理できていない企業においては、窓口設置とその周知や従事者が遵守すべき規程(守秘義務に関する内容を含むものが適切です)の整備などを進めておくべきでしょう。た法令に関する違反として公益通報者保護法にて指定されている法令に限定されています。どのような内容でも公益通報として保護の対象になるわけではなく、内部の労働者間の純然たる個人的なトラブルなどまで対象となっているわけではありません。報(または会社が用意した外部通報)窓口が最優先とされており、行政機関への通報や報道機関などへの通報については、内部通報によっては、通報者が特定されて不利益を受けるおそれがある場合などに限定されています改正された法律では、従業員数が300人公益通報に該当するのは、刑罰の定められまた、公益通報の方法についても、内部通2022.74629回(2020年10月号※)でも紹介してい※  当機構ホームページでお読みいただけます  https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/series.htmlA

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