エルダー2022年7月号
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第4回尾■拓■二■部長に、同社の両立支援体制や早期発見東京都渋谷区に本社のある株式会社アートネイチャーは、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、1967(昭和42)年の設立以来ウィッグを中心とした毛髪関連事業で常に業界をリードしてきた。同社では、社会に「笑顔」を増やしていくためには、社員が笑顔で活き活きと働き続けられる職場環境が必要だと考え、その整備に力を入れてきた。特に一人ひとりを大切にする企業文化のなかで、病気になっても働き続けられるための「病気と仕事の両立支援策」は時代の変化に合わせて随時進化させてきている。そこで今回は、実際にがんの治療を続けながら仕事に復帰した経験を持つ人事部の根■への取組みについてお話をうかがった。同社の社員数は3798人※だが、その7割近くが理・美容師である。ほとんどの社員はウィッグを扱うという特殊な技術を習得する必要があるため、新人が技術を身につけるまで時間をかけてていねいに教育が行われる。ここから一人ひとりを大切にする企業風土が生まれ、社員の健康はまさに会社の財産=「人財」であるという健康経営の取組みへと結びついていく。そんな同社では2015(平成27)年に「AN健康宣言」を行い、生活習慣の改善、メンタルヘルス対策の推進、がんへの取組み、禁煙対策の推進、女性の健康への取組みを重点テーマとしてさまざまな施策を行ってきた。こうした取組みの数々は、「ホワイト企業アワード」や「がんアライアワード」で表彰されるなど、各方面から評価されている。なかでも両立支援制度については、「病気治療と仕事の両立支援ガイド」の作成、独自の「傷病休暇」制度などを柱として整備されてきた。特に休暇の取り方については2021(令和3)年に改正されたが、これには根尾部長自身の体験が大きく反映されている。「図らずも私自身が2020年6月にがんに罹患し向き合うことになりました。会社で会議中に倒れて緊急搬送されたのです。緊急手術を社員一人ひとりを大切にする社風から 数々の健康経営施策を展開2022.748※  単体:2,256人 ・出向者除く・臨時雇用含まず(2022年3月末日現在)■人事部の根尾拓二部長株式会社アートネイチャー両立支援制度以前に早期発見が大切実体験を通じてリアルな不安と学びを発信 加齢により疾病リスクが高まる一方、近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病が「長くつき合う病気」に変化しつつあり、治療をしながら働ける環境の整備も進んでいます。本連載では、治療と仕事の両立を支える企業の両立支援の取組みと支援を受けた本人の経験談を紹介します。病気とともに働く

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