エルダー2022年7月号
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高齢者が活躍できる場を増やすために宏■司■さんは、次のように話す。大阪府大阪市の北側に隣接する豊■中■市は、約は、「生涯現役促進地域連携事業(以下、「連携事業」)」に取り組む以前から、地域就労支援センターや無料職業紹介事業などを通じて、「働きたいのに仕事が見つかりにくい」、「就職しても長続きしない」など、働くうえで何らかの課題がある人の就労支援をベースとした生活困窮者支援に取り組んでいる。その一貫として、年齢や体力などの理由で、働きたくても働けない高齢者の就労支援を行ってきた。一方、一般的な高齢者の就労支援施策としてはシルバー人材センターがあるが、同センターで紹介しているのは軽易な仕事が中心である。豊中市市民協働部参事兼くらし支援課長の濱■政■「健康寿命が延び、アクティブシニアが増えているなかで、社会に貢献したいという意欲を持った高齢者も増えており、従来の取組みだけでは、多様化する高齢者の仕事に対するニーズに十分対応できていないのではないか、という問題意識がありました」そこで豊中市は、リーマンショック後に創設■■■■された国の「緊急雇用創出事業」を活用し、新たに「シニア層を対象とした新たな就業・社会参加の場創出事業」を開始した。農業や内職、学習支援などによる新たな就業機会の創出を目的とした事業である。例えば「タブレット講座」は、シニアがタブレットの使い方を学ぶことでQOLの改善につなげることを目的としたものだが、事前に高齢者を対象とした指導者の養成講座を行い、高齢者が高齢者に教える仕組みを設けた。指導者となった高齢者は、事業終了後も受講料を受け取りながら、高齢者にタブレットを教える活動を継続している。「市が活動の土台を一緒につくり、その後に自立できるような取組みを行ってきました。こうした流れのなかで、高齢者がさらに働ける場所をつくっていきたいと考えましたが、当時は高齢者を採用する企業がまだまだ少ない状況で 厚生労働省では、地域の実情に応じた高齢者の多様な就業機会を確保するための事業を募集し、その実施を委託する「生涯現役促進地域連携事業」を2016(平成28)年度より6年間にわたって推進してきた。その実施事例として、2016年10月にスタートした大阪府豊中市の取組みを紹介する。61エルダー豊中市市民協働部参事兼くらし支援課長の濱政宏司さん40万人の人口を抱える住宅都市である。同市豊中市生涯現役促進地域連携事業推進協議会(大阪府)人生経験豊富なシニアの能力を活かしサービス関連産業での雇用を拡大「生涯現役促進地域連携事業」より地域発の取組みから学ぶシニア就業

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