エルダー2022年7月号
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高齢者と企業がマッチングしやすい環境づくりした。そこで、高齢者を雇用する会社を開拓していきたいと考えたときに、市単独では財源的にも人的にも厳しいため、連携事業に応募して事業化することを考えたのです」住宅都市である豊中市には、住民の日常生活に密接なサービス関連産業が多い。そこで同市は、サービス関連産業を連携事業の重点分野に設定し、企業へのアプローチ、高齢者へのアプローチ、両者のマッチングの三つの活動に取り組んできた。まず、企業へのアプローチとして、高齢者を活用するメリットや高齢者が活躍するためのノウハウなどを説明する「シニア活用セミナー」や企業訪問を行い、高齢者を雇用する企業を開拓。また、高齢者雇用に取り組む企業には専門家を派遣し、就業規則や職場環境の見直しなどの支援を行った。高齢者へのアプローチの一つとして「ワークライフバランス講座」を開催した。「収入を求めて働きたい方は自ら就職活動を行いますが、それ以外の方は、なかなか自分からは活動しません。そうした方々に、これからのマネープランや健康づくりなどの講座を開き、お金だけでなく健康維持や社会貢献のために活躍の場があることを伝えつつ、仕事への意欲を高めてもらうような働きかけを行いました」企業と高齢者のマッチングでもっとも大規模に行っているのが、年1回の「合同説明会&面接会」。ところが2018年の実績を見ると、参加者48人中、就業人数は3人にとどまっている。「高齢者は未経験の仕事に対して消極的な傾向があります。そのため、一般的な説明会や面接会では、会社や仕事の一部分しか伝わらず、なかなか採用に結びつきません。そこで、会社の雰囲気や仕事の内容がより伝わるようなイベントとして、『シニアのためのおしごとカフェ』、『未経験業務チャレンジ講座』を企画しました」シニアのためのおしごとカフェは、参加した高齢者を4〜5人のグループに分け、各グループを企業の担当者が順に回って説明するスタイル。茶会形式の和やかな雰囲気で行われ、参加者は会社や仕事のことについて気軽に質問することができる。「合同面接会の場合、最初に全員の前で説明した後はブースで待っているだけで、ブースに来てくれた人としか話すことができません。その点、『おしごとカフェ』では参加者全員と話すことができるので、企業の担当の方から『こういう機会はありがたい』と好評です」容を具体的に説明し、未経験業務を敬遠しがちな高齢者に「自分でもできそう」と感じてもらうことをねらいとしている。例えば「コンビニのお仕事講座」では、店舗で使われているPOSレジを体験。「スーパーのお仕事講座・体験講座」では、実際に店内を見学するなど、一方、未経験業務チャレンジ講座は、業務内2022.762スーパーで行われた「未経験業務チャレンジ講座」の様子(写真提供:豊中市)気軽に意見交換ができる「シニアのためのおしごとカフェ」の様子(写真提供:豊中市)

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