エルダー2022年8月号
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役は、「人生100年時代を迎えるなか、シニア人材がよりいっそう社会で活躍することで、相対的貧困率や健康な生活、働く機会の獲得、雇用側の人材不足など、さまざまな社会課題の解決を図っていくことを目ざしています」と話し、単なるシニア人材の活躍推進に留まらない取組みを目ざしていることがうかがえる。は、負荷の高い作業が多く、アルバイトなどを含むスタッフの約9割が若手人材だというが、同社ではシニア人材の活用を、創業当時から考えていたという。「創業者がアメリカで棚卸し事業を視察し、現場でシニア人材が活躍していたことに感銘を受け、当社におけるシニア人材活用のきっかけとなりました。取組みを本格化させたのは2011年からで、最初は社員として67歳のシニア人材を採用し、人材育成のためのアセットアカデミーの設立に尽力してもらいました」(洞専務取締役)の活用についてさらに検討し、さまざまなことを学ぶなかで「ジェロントロジー(老年学・加齢学)」について知った同社では、2017年から、一般社団法人日本産業ジェロントロジー協会代表理事である崎山みゆき氏のアドバイス同社の事業の中核をになっている棚卸し業務その後、人手不足が深刻となり、シニア人材1234567816図表 アセットインベントリーのSDGs 八つの重点施策棚卸し業務用機器などのさらなる省エネ化と、シェアオフィスの積極採用などにより、事業で排出するCO2を大幅に低減。また、IT利用促進によるペーパーレス化を積極的に進める。人生100年時代といわれる現代、シニア人材の活躍が重要な課題と考え、「生きがい就労事業の開発」をテーマに掲げ、ジェロントロジーの理念に基づき、就業意欲の高いシニア人材およびシニアをサポートする人材の持続可能な育成と、シニアが活躍できる社会基盤づくりを、人材派遣・請負業を通して実証する。「シニアにやさしい就労スタイルの創造」をテーマに掲げ、シニア人材の就業機会を継続的に創造する枠組みの確立を目ざす。セカンドキャリアを学ぶ教育機関と人材を求める民間企業のマッチングを行い、ジェロントロジー教育に基づいた職場環境、人材の整備と、受け入れ態勢の整備を同時的に進める。シニア人材が社会で活躍することでますます「健康」を維持できるために、健康データ取得と分析を行い、シニア人材の持続可能な社会基盤づくりに貢献する。「年齢を意識しない平等な環境の創造」をテーマに掲げ、働きたいと希望する人々が、年齢を理由に採用されないといった事例を撲滅するために、ジェロントロジー人材の活躍を通して啓蒙、啓発していく。まずは、価値観と認識の改革を行う観点で、2030年までに延べ4万人に対して、加齢に対する偏見(エイジズム)を無くす教育を推進する。持続可能な開発を行うためには、SDGsの達成に賛同し、自ら実践することが重要であると考え、事業戦略計画とSDGsを統合。事業を通して社会に貢献することが、経営の本質。自ら経営を見直す機会を積極的に設けるとともに、第三者機関の評価を受けることで継続的改善を実現していく。地域、政府、都道府県等地域行政、専門機関などと連携し、シニア人材の活躍を、「ジェロントロジー人材」の開発を通して、ステークホルダーと協働(エンゲージメント)し、積極的に情報公開する。環境社会ガバナンス省エネルギー、低炭素経営資源の節約、有効利用労働力確保と権利の保全ダイバーシティ(多様性)と公正、平等な社会基盤エイジズムの排除企業理念のSDGsとの統合企業統治能力の向上ステークホルダーとの協働

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