エルダー2022年8月号
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年齢にかかわりなく生涯現役で働ける雇用制度を整備株式会社松尾青果︵長崎県南島原市︶“休みやすさ”の視点が重要に高齢者をはじめとする多様な人材の活躍を原動力に新しい農業ビジネスの構築により地域に貢献りいつろき株式会社松尾青果は、松ま尾お博ひ明あ代表取締役社長が1978(昭和53)年に青果問屋として松尾商店として創業。地元・島原半島のジャガイモを中心に野菜の集荷・販売を生な業わとし、その後業容拡大のため、2008(平成20)年に株式会社松尾青果を設立した。同社の特徴の一つが、生涯現役で働ける職場環境を整えていること。現在、従業員は50人で、その年齢構成は70歳以上が9人、65~69歳が2人、60~64歳が6人、55~59歳が4人、50~54歳が3人、45~49歳が2人、44歳以下が24人となっており、60歳以上が約3割を占めている。同社では、2015年3月に定年を65歳に延長し、65歳以降は、希望者全員を年齢の上限なく再雇用することを就業規則に明記した。就業規則の改定前は「会社が必要と認めたものについては勤務延長することがある」としていたが、実際には希望者全員を再雇用しており、制度自体が形骸化していたことから、就業規則に明文化したという。これにより、社員は将来への漠然とした不安がなくなり、安心して働き続けられるようになった。また、定年後再雇用になっても、基本給は定年前と変わらず、働きぶりによっては昇給もあるほか、ボーナスも支給しており、年齢にかかわらずモチベーション高く働ける評価・処遇制度も整えられている。高齢社員が働きやすい職場づくりの一つとして、「休暇を取得しやすいこと」にこだわっている。同社では、「欠勤表」で欠勤日を管理しているという。た一覧表であり、縦軸に社員全員の名前、横軸に当月の日付が記入されており、各社員が休暇を取りたい日に所定の記号を書き込むだけで、ほぼ希望通りに休むことができる。所定の記号は5種類。「×」は風邪・頭痛、「◎」は腰痛・肩痛、「△」は腹痛・下痢、「☆」は入院、「○」は私用、という事由を示している。会社やほかの社員に遠慮をしてしまい、休暇申請を出しづらいと感じる社員でも、自身の体調不良や家族の事情を会社に伝えやすくするための仕組みだ。これにより会社は、ひと目で社員の健康状態や事情が確認できる。家族の介護や体調不良など、さまざまな事情を抱えながら働いている欠勤表とは、大きなホワイトボードでつくっ特集SDGsと高齢者活用19エルダー60歳以降も長く働くためには

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