エルダー2022年8月号
36/68

■■■■■年齢ではなく能力をみて適材適所の人材配置期待される言葉がやる気に変わる筒■大■輔■代表取締役社長は、「年齢にかかわらず、時間のため、職場近辺に住むか、バイクや自転車で通勤する社員が多いそうです。また、元日以外は営業しており、勤務形態は月ごとのシフト制で、休日はそのシフトにより異なります。3代目の井■社員の健康と体調、モチベーションが大事になります。イスズベーカリーで働く意味をそれぞれが見い出し、やりがいを持って無理なく働ける環境づくりを考えています」と職場環境整備の重要性を話します。清水プランナーは、2020年11月に同社を初めて訪問し、高齢者雇用の推進について、同社の経営上の効果が見込めるという観点から定年年齢の引上げなどをアドバイスしました。また、安全衛生面に関することや高齢者雇用にかかわる職場改善事例を紹介し、長く働くことのできる職場づくりの提案を行いました。提案を受けた井筒社長は、定年年齢の引上げを今後の検討事項の一つにあげており、高齢社員の存在について次のように話します。「パンの製造補助や包装は、年齢に関係なくできる仕事です。年齢ではなく能力をみて、適材適所の配置をすることが大事だと思います。高齢社員は総じてしんぼう強いといいますか、コツコツとがんばってくれていて、大きな力になっていますし、会社の事情もわかって仕事をしてくれます。会社としては、長く勤めてくれる社員はとてもありがたい存在です」一方で、ベーカリーの仕事は立って行う作業が多く、大きく重量のある物を運んだり、スピードが求められる仕事も少なくないことから、社員の負担を軽減するための環境整備にも力を入れています。「例えば、生地をミキサーボールで練ると弾力が出ます。別の容器に移すのがたいへんなのですが、工場では機械の力で移すことができます。また、持ち上げる作業は昇降機を導入することで、だれでも作業できるようになりました。今後も改善を追求し、高齢者や女性にとっても働きやすい環境を考えていきたいです」(井筒社長)そうした改善について清水プランナーは、「今後も相談に応じて力になりたい」と話します。今回は、「自社の商品に愛情を持ち、精力的に働いてくれている」と井筒社長が誇る60代のお2人にお話を聞きました。井上正■文■さん(62歳)は、50歳で入社して勤続送、材料の準備と運搬、そして、引き合いに応じて行う営業、主にこれら三つの業務を担当しています。朝7時から夕方まで、週5日、定年を迎えてからは嘱託社員として働いています。井上さんはバブル崩壊時に早期退職し、50歳までは清掃業に就いていました。「清掃業は日勤と夜勤があり、年齢とともにきつくなってきたため、日中の仕事を探して、当社の求人をみつけました」と井上さん。それまでとはまったく異なる仕事だけに不安もあったそうですが、「正社員として入社できると知り、思いきって飛び込みました。ありがたいことに、定年後も同じ仕事を続けていられますし、いま私は『救われたな』という気持ちです。『日本一のパンをつ、30代まで商社に勤めていましたが、パンの配送準備をする井上正文さん2022.83412年目。営業2課に所属して、焼き立てパンの配

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る