エルダー2022年8月号
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創業100年を目ざして■ くるぞ』、『みんなで広めるぞ』という一体感を感じながら仕事ができています。定年後も仕事に対する気持ちは変わりません。不安だった業務にも慣れて、倉庫の仕事や営業も手がけて世界が広がっています」と語ります。また、「井筒社長から『65歳までは働いてほしい』、『体力と相談しながら70歳までも』といっていただき、これからも会社に貢献したいと思い、昨年から体力をつけるためにジム通いを始めました」と笑顔で話します。井筒社長は、「いつもしっかり仕事をしてくれています。病院の売店に当社のパンを置いてもらえるようになるなど、営業にも積極的です」と井上さんの働きぶりに目を細めます。山本洋■子■さん(60歳)は、57歳のときにパートタイム社員として入社しました。「パンが好きで、以前もパン関係の仕事に就いていたことがあるんです。ここでの仕事は、包装と、包装後のパンに日付などのラベルを貼ること。パンの種類によって包装も変わり、機械で行うこともあれば、自分の手で行うこともあります」と山本さん。コロナ禍になってからは、袋詰めにする種類が増えたそうです。勤務は朝から夕方まで、週5日。平均して、1日1500個ほどのパンを扱っています。仕事で大事にしていることをたずねると、「もっとも気を遣っているのは、衛生面です。お客さまの笑顔を想像し、安心して、おいしく食べていただけるように、ていねいな作業を心がけています」とにこやかに話す山本さん。「楽しく仕事ができていますし、雰囲気もよく働きやすい職場です。社長と直接お話をする機会もあり、『これからも働いてください』といっていただけることにやりがいを感じています」と明るい声で語ります。最後に山本さんは採用時のエピソードを話してくれました。「最初に電話で年齢をいったところ『ぜひ面接にいらしてください』と声をかけていただきました。50代後半で採用してもらい『がんばろう』と思いましたし、『これからもよろしくお願いします』という気持ちです」。井筒社長は、山本さんの人柄について「元気で、まわりを明るくしてくれる存在です」と話してくれました。清水プランナーは、「お2人の話から、井筒社長がしっかりとコミュニケーションを取り、期待をしていると伝えていること、そのことがやる気を引き出していることが特に印象に残りました。社長が心の底から話されているから伝わるのだと思います。人を集め、一人ひとりの人材を大切にする企業文化を育まれています。たいへん素晴らしいと思います」と同社を評価しています。井筒社長は現在42歳。「私より年上の社員、勤務年数の長い社員もいます。社長として指示・指導をすることもあれば、私が教えてもらうこともあり、よい関係で仕事ができていると思います。私も現場で仕事をしているので、いまも現場の意見を聞くことを大事にしています。また今後の第一の目標は、創業100年を目ざすこと。無理なく成長する会社にしていきたいと思っています。高齢者雇用にはフレキシブルに対応し、年齢ではなく、やる気、能力、体調、健康を重視して雇用を継続していきます」と語ってくれました。今年9月には新社屋が完成予定とのこと。新しく、働きやすい職場で、これからも人々を笑顔にするパンづくりを続けていく同社です。(取材・増山美智子)包装されたパンにラベルを貼る山本洋子さん35エルダー

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