エルダー2022年8月号
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■■■2022年にガイドブックを改訂同僚編で「一言かけることの重要性」を訴える他人ごとではなく当事者として情報発信を続けるこれに応募する。関連する制度や社内体制、がんに罹患した社員のエピソードなどを応募書類に記載したところ、「がんアライアワード」のゴールドを受賞、以来4年連続で同賞を受賞するなど、同活動に積極的にかかわっている。同社独自のガイドブックができてから5年を経た2021年には、がんアライ部に参加する各社のガイドブックのよいところを持ち寄って、モデルとなる両立支援ガイドブックが完成した。このガイドブックはホームページからダウンロードすることにより、各社の実情に合わせてカスタマイズできるという便利なものだ。「そして、今度は逆にこのモデルガイドブックからよいところをいただいて、内容を改訂したのが2022年です」と村本さん。つで構成されている点と、がん経験者の思いをより大切にしている点にある。「ガイドブックにとどまらず、当社の特徴として、当事者との対話を重視するという社風があります。その現れの一つが三年前に発足したがん経験者の社内コミュニティ『キャンスターズ』です。今回の改訂にあたってもメンバーの改訂版の特徴は本人編、上司編、同僚編の三視点をできるかぎり反映しました」と村本さん。また、「同僚ががんになったときにどう声をかけてよいかわからない」、といった声に応える形で、同僚編では「もし罹患者が出たときにどう言葉をかけたらよいのか?」という課題について、キャンスターズの経験から「こういう声をかけてもらったら嬉しかった」という参考例を掲載し、「温かい言葉をかけることの重要性」を訴えている。ことを一つひとつ重ねる」ことが大切だと村本さんは語る。同社でも、まず最初にガイドブックに着手し、その後当事者の意見を取り入れた制度を整備し、経験者の社内コミュニティをつくるなど、できることを一つひとつ積み重ねた結果がいまに至っているのだ。「会社によって事情は異なると思いますが、『ウチではできない』と思っても何かしらできることはあるはずです。そこから積み重ねていけば、どんな会社でも両立支援はできると思います」と村本さんは強調する。また、支援といっても「所■詮■他■人■ごと」と思われていては社内全体で取り組んでいくことはできない。そのためにも村本さんは「私の場合、命と引き換えに声帯を取り、現在は食道発声法※3で会話をしていますが、この声や身体とは今後一生つき合っていくことになります。そういうなかで闘病体験やそこから感じた人生の意味合いといったものを語ることで、少しでも両立支援を自分ごとと感じていただけるお手伝いができればと思います」と、強く決意している。両立支援を軌道に乗せるには、「いまできる※3 食道発声法……声帯の代わりに食道を震わせて声にする発声法2021年から取り組んでいるCan Starsカフェ。昼休みの気楽な時間にキャンスターズメンバーの体験談を聞くことができる45エルダー病気とともに働く

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