エルダー2022年8月号
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社外取締役は〝メジャー〟な存在酬委員会の議長や参加者を社外取締役がになうことが一般的になっています。もう一つの重要な役割として、上場企業に対して適切な企業経営のための監視・統制の原則をまとめたコーポレートガバナンス・コードの原則4―7の「経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと」があります。同一の社内しか経験がない人材のみで企業経営を行うと、従来からのしがらみや成功体験、価値観から逃れられず、経営環境の変化が加速化しているなかで事業や組織風土の変革が進まないという課題は現在では広く認知されています。そこで、いままでに自社にはない経験や知見をもった多様な人材を選任し、かつては煙たがられたともいわれている社外取締役の発言を積極的にうながしている企業は増えています。社外取締役の発言の場は取締役会や指名委員会等の公式な場が一般的ですが、非公式な議論の場を設け社内取締役と社外取締役の意見交換を増やしている会社も出てきています。かつて社外取締役は〝マイナーな存在〟でした。日本取締役協会が発表した「上場企業のコーポレート・ガバナンス調査」(2021年8月)によると、2004(平成16)年では東証一部上場企業のうち、社外取締役をまったく選任していない企業は69・75%でしたが、2021年には0・05%しかありません。また、同調査によると、取締役会のうち過半数を社外取締役が占める企業は10・3%、3分の1が68・7%に上っています。経年でみると、毎年社外取締役が占める割合が増えています。このことから社外取締役は少なくとも上場企業にとっては、いまや〝メジャーな存在〟といえます。役の設置を企業側にうながしています。例えば、会社法では、2021年に上場企業等の一定の条件を満たす会社に社外取締役の設置を義務づけています。また、コーポレートガバナンス・コードでは、原則4―8「独立社外取締役の有効な活用」でプライム市場上場会社では少なくとも3分の1、そのほかの市場の上場会社では2名以上選任すべきと定められています。このような背景もあり、社外取締役の延べ人数は毎年かなりの伸びを示しています(図表)。いう役割から、学者や弁護士が多いといわれていましたが、近年は社外取締役に企業の中長期的な成長に向けた助言を求める企業が増えていることから、他社の経営幹部や高度な事業の実績があるビジネス人材の需要が高まっています。このような要件に合う人材が無尽蔵にいるわけではないため、一人の元企業経営者が何社もの社外取締役を兼任するのは珍しくなく、今後、社外取締役人材の獲得競争が激しくなっていくことが想定されています。法律やコンプライアンスの面からも社外取締従来、日本の社外取締役は企業経営の監督と次回は、「労働組合」について取り上げます。2004年〜2006年 有価証券報告書に基づく2次データ、2007年以降 東証コーポレート・ガバナンス情報サービスを利用して作成。毎年8月1日に集計。出典: 日本取締役協会「上場企業のコーポレート・ガバナンス調査」 2021年8月エルダー47図表  社外取締役/独立社外取締役述べ人数(東証1部)6,9256,2855,7175,1744,7234,2712,9701,7601,3491,1031,0191,0131,0434054484324634764776187026886816575685091,5151,4801,2961,1649182021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年社外取締役独立社外取締役■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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