エルダー2022年8月号
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古都・鎌倉で五つの重点分野で事業を展開各種取組みを推進し年間100人を超える就業を実現神奈川県の南東部に位置する鎌倉市(人口知られ、人気の観光地でもある。そんな同市では、2015年前後、高齢化率が全国や県を上回る30%台に達した。鎌倉市商工課勤労者福祉担当係長で、生涯現役促進地域連携鎌倉協議会(以下、「鎌倉協議会」の事業を統括する田中敬■子■さんは、生涯現役促進地域連携事業(以下、「連携事業」)に応募した経緯を次のように話す。「鎌倉市には、さまざまな分野の専門知識や豊富な経験をお持ちの高齢者が多く居住されているにもかかわらず、なかなか地域で活躍する場がありませんでした。そこで、『鎌倉の一番の資源は人』という視点に立ち、高齢者の就労環境を整備するために、2016(平成28)年度に連携事業に応募し、協議会を立ち上げました」鎌倉協議会は、連携事業の重点分野として①観光、②IT、③子育て、④介護・生活支援、⑤中小企業支援、の5分野を定めた。観光が重点分野に入っているのは、鎌倉ならではの特徴といえよう。また、鎌倉にはIT関連企業も集積しており、高齢者が持つ法務や会計などの専門的な知識でベンチャー企業を支援することなどが期待できる。子育てと介護・生活支援は、いずれも人手不足が常態化しており、やはりシニアの活躍が期待できる分野だ。中小企業支援は、鎌倉市が大型事業所の誘致がむずかしい土地柄であり、中小企業が多いことから、ITと同様に高齢者のスキルや経験を活かせる可能性がある分野として取り入れられた。ら」という名称で2017年度からスタート。就労を希望する高齢者への相談窓口、ホームページなどによる情報提供、事業者訪問による求人開拓、就労啓発セミナー、合同就職説明会鎌倉協議会の事業は「セカンドライフかまく 厚生労働省では、地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業機会を確保するための事業を募集し、その実施を委託する「生涯現役促進地域連携事業」を2016(平成28)年度より6年間にわたって推進してきた。その実施事例として、今回は神奈川県鎌倉市の取組みを紹介する。鎌倉市商工課勤労者福祉担当係長の田中敬子さん61エルダー■17・3万人)。鎌倉幕府が置かれた古都として観光やITなどの分野で高齢者にできる仕事を開拓生涯現役促進地域連携鎌倉協議会(神奈川県)「生涯現役促進地域連携事業」より地域発の取組みから学ぶシニア就業

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