エルダー2022年8月号
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仕事の意義を伝えることが大切できない部分より可能性に着目高齢者の声を商品開発に活かす「シニア層のなかには、親御さんの介護経験から『いろいろ思い出してしまって介護業界はためらう』といわれる方もいます。そのため、仕事をすることによってどのような喜びが得られるのか、働く意義のようなものを、ご本人と一緒に掘り下げて考える必要があります。ご本人の興味関心や、ほかの職種への理解などを含めて、地域のなかでどのように働いていくのか相談に乗りながら、ご自身が少しでも納得のいく仕事に出会えるよう、今後もシニアのみなさんに寄り添っていきたいと考えています」鎌倉協議会は今年度、新たな取組みとして、地域の仕事だけではなく、ボランティアや生涯学習などにも時間単位で参加できるシステムを導入する。従来通り対面でのかかわりを基本としながらも、ITを活用しながら高齢者が地域で活躍できる機会をさらに広げていく考えだ。事業推進員 現役時代につちかった知見や経験を活かせる仕事はなかなかありません。そのため、仕事に対する考え方を切り替えることが大切になります。私が面談をした方に、現役時代に大手メーカーなどで活躍され、語学も堪能な方がいらっしゃいました。その方は、体を動かすことが好きだということで、それまでの経験をリセットして、ドライバーとしての送迎や庭の剪定の仕事などをされています。シニアの方は、収入が目的ではない場合、働くことを通じた社会貢献を求めているケースが多いです。そのため、事業者さんには、仕事内容だけでなく、その仕事を通じてどのような貢献ができるのか、自己実現にどうつながるのか、といったことも説明していただくことが大切だと感じます。事業推進員 一口に「シニア」といっても、く、経歴や仕事に対する思いもさまざまなので、一人ひとりに合わせた情報提供を行っています。企業の人事の方にも、履歴書で年齢山■■鹿■一■■実■さん松田憲■■司■さんを見て判断するのではなく、できればご本人に会っていただきたいと思います。面談していると、ほとんどの方が年齢よりも5〜8歳くらい若いマインドとスキルをお持ちです。シニア層に特化した仕事になると、あまりスキルが望まれないような仕事になるのが一般的です。しかし、「シニアだからできない」という見方ではなく、その人の可能性を見い出してアプローチしていただけるとよいのではないかと思います。実践支援員 事業者さんには、高齢者の社会参加の機会を、雇用にかぎらず、柔軟に検討していただけるとありがたいです。一例として、商品やサービスを開発する際に、高齢者の方に利用してもらい意見を聞いていただくと、参考になるのではないかと思います。以前、ハンドバッグを製造販売している会社がユーザーの声を聞きたいということで、4〜5人の高齢者を集めて意見を聞いたことがありますが、とても率直な意見が集まり、商品開発に役立ったようでした。人の役に立ちたいと思っている高齢者は多いですし、実際にそういう機会があると、やりがいを感じていただけます。渡■■邉■■浩美さん 合同就職説明会の様子63エルダー50代から80代まで年齢層は幅広生涯現役促進地域連携鎌倉協議会 推進員・支援員より

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