エルダー2022年8月号
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SDGパートナーズ有限会社代表取締役CEO 田瀬和夫さん企業の社会的存在意義が問われるSDGs次世代へシニアのスキルや経験の継承を次の世代に引き渡したいのか」という世界観を共有することです。加盟国の全会一致で採択された「持続可能な―  7   開発のための2030アジェンダ」には、まず前文があり、その後に宣言があり、17のゴールと169のターゲットが出てくる構造となっているのですが、ほとんどの方が数値目標のところしか見ていません。しかし、前文と宣言に明記された﹁誰一人取り残さない﹂ということや﹁一層大きな自由﹂などの世界観こそが重要なのです。また、ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)についてもアジェンダの極めて重要なビジョンの段落に書いてあります。地球環境に関しても、もともとは「自然を大切にしよう」ではなくて、「現在の世代と将来の世代の両方のニーズを満たす」という概念でした。代を超えてすべての人が自分らしく、よりよく生きられる」といった世界観を示しているといえます。そういう意味では、企業にとってのSDGsとは、国際社会のなかで、その企業が社会の一員としてどういう役割を果たせるのかを考えることといえるでしょう。いい換えれば、SDGsを考えることは経営者にとってはパーパス(社会的存在意義)を考えることと直結するのです。大きな命題です。社会で役立つことをしながら利益を上げていく、つまり「きれいごとで勝つ」これらのことをまとめると、SDGsは「世もちろん企業である以上、お金を稼ぐことがSDGs(持続可能な開発目標)は、国をあげての取組みとして浸透する一方、生涯現役時代におけるキーワードの一つとなっている。企業においても、持続可能な社会の実現を目ざす一員となることが求められるなど、SDGsへの対応は避けて通れないところまで来ているといえる。そこで今回は、企業のSDGs対応に関するコンサルティングを数多く手がけてきたSDGパートナーズ有限会社の田瀬和夫さんに、企業がSDGsに取り組むことの意義、シニア世代への影響などをうかがった。SDGsを考えることは企業の社会的存在意義を考えること―日本でも近年SDGsという言葉が聞かれるようになりましたが、まだまだNGOなど公共性のある組織が取り組む課題ととらえられているかと思います。企業としてSDGsに取り組む意義はどこにあるとお考えですか。田瀬 SDGsの目的は、2015(平成27)年9月の国連サミットで、15年後の「2030年に次世代に引き渡すべき国際目標という大きな世界観を示したこと」だと私は考えています。ジェンダー平等の実現や働きがいと経済成長の両立など一つひとつの目標は重要なことですが、さらに重要な観点は、「どういった世界を特集SDGsと高齢者活用エルダー

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