エルダー2022年9月号
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働きやすい職場づくりに高齢社員も一役買う池田顧問は、「製造業を営む企業として、顧例えば、同社では配送を行うドライバー業務を自ら考えることで、次に別の問題にぶつかったとき、応用を利かせて解決することができるようになるからだ。本人の力を伸ばすことに主眼を置いた、ていねいな指導である。若手社員が伸びていく姿を見るのは、土蔵さんにとっても大きなやりがいになっているそうだ。土蔵さんは昨年まで週5日フルタイムで勤務していたが、昨年途中より、週の中日に休日をつくり、週4日の勤務に変更した。「休みを増やしたいと希望を申し入れたところ、快く対応してもらえました。ほかには時短勤務で務めている高齢社員もおり、とても働きやすい会社です」(土蔵さん)土蔵さんが教える若手社員の一人、山本陸■人■さん(23歳)は入社2年目。製造課に所属し、現在は制御盤や包装機の組立て作業を担当している。製造業の仕事は初めてで、土蔵さんに図面の見方や工具の使い方など、基礎から指導を受けた。「図面には載っていないことや、『こうした方が仕事の効率がよい』といったこと、そのための工具の持ち方などを教えてもらいました。土蔵さんは仕事以外でも人生の先輩として、会社で役立つ知識や知恵を教えてくれる頼れる存在です」(山本さん)TTRでは、ビス締めと圧着、銘板貼りを教わったという。「ビス締めは製品や顧客によってトルク(回転方向に回す力)が異なることもあり、締め方のコツをつかむのがむずかしかったです。新しい製品を担当できるようになれば、また練習して学ばなくてはいけません」と話す山本さん。多様な顧客と品種に対応するために、ベテランの持つ知識と技術に頼る場面は少なくない。「いまはまだできる仕事はかぎられていますが、できる仕事の幅を増やしていきたいですね。これからも、どうしたら会社のために、社会のために力になれるか、信頼されるようになるのか。土蔵さんからもっともっと学んでいきたいと思います」(山本さん)客に満足してもらう製品を提供するためには、職場の環境改善が欠かせません」と話す。手作業での組立てが多い現場であるからこそ、人員構成上の割合が高い高齢社員や女性社員の体力を考慮し、作業環境の改善を図ってきた。を、女性社員と60歳以上の高齢社員が担当している。一般的に、荷物の積み下ろしは身体的な負担が高い作業だが、同社ではワゴンやラックにキャスターをつけて運搬の負担を大幅に軽減している。積荷の搬入から納品まで、最小限の負荷で、女性社員や高齢社員でも無理なく業務にあたることが可能だ。しゃがんだり、持ち上げたりする動作を必要としないため、同時に作特集活かしてますか? 高齢社員の能力・経験若手の指導役をになっている土蔵伊左美さん■土蔵さんの指導を受けている山本陸人さん13エルダー

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