エルダー2022年9月号
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高齢社員のものづくりに対する熱意・姿勢が若手社員の見本に◆ 細かい文字を読むのが苦手な高齢社員に配慮◆ 作業中は長時間の立ち仕事となるため、足元◆ 多品種を生産していることから、取り扱う部業効率も大幅に改善したという。また、工場内で荷物を運ぶ什器の大半にもキャスターをつけており、こちらも大幅な作業負荷の軽減を実現している。このように、多くの高齢社員が働く同社では、働きやすい環境整備にも注力している。紹介したキャスター取りつけ以外にも、次のようなさまざまな取組みを行っている。し、紙ベースの作業指示書の大半を電子化。パソコンの大きな画面で文字を拡大して読めるようにした。にクッション性のあるシートを敷き、足腰の負担を軽減した。品数が多いため、部品収納ケースには品番・品名表示とともに、部品の写真を貼り、部品の選択ミスを防止している。このように職場環境改善の取組みを充実させるため、同社では改善案を各部署から募っている。特に高い評価を得た改善案には賞金を出しており、改善に対する従業員のモチベーションも高い。採用された改善案のなかには、高齢社員が「昔行っていた方法」として意見を出したケースもあり、職場改善の場面においても高齢社員の知恵や経験が活かされている。同社には2020年に85歳で退職するまで、パート社員として意欲的に勤務していた高齢社員がいたそうだ。大手電機メーカーを定年退職し再雇用の期間満了後、もっと働きたいとハローワークに通い、同社に再就職した人材だ。週5日勤務し、精密機器である製品の検査を担当しながら、最新の技術動向に追いつこうと日々勉強していたという。自然の成り行きで若手を指導するようになり、本人も若手社員とのコミュニケーションやレクリエーションを楽しんでいたそうだ。ものづくりに対する熱意や仕事に取り組む姿勢は、土蔵さんにも通じるものであり、これが同社が理想とする高齢社員の姿だという。「高齢社員と若手社員が現場で意見をいい合える関係になるのが理想です。みなさんが経験したことや知恵を現場で意見として出してもらい、相談しながら物ごとを進めていきたいですね」(池田部長)に取り組める環境の重要性について次のように話す。「働くことに関して希望を持っている人と、そうではない人がいます。これは考え方の違いで良い悪いの話ではありませんが、働かざるを得ない状況は多分にあるとしても、働くことに生きがいを見つけてほしい。『第二の人生をがんばりたい』という人に、働く場所を提供していくことも私たちの役割です。働くことに希望がなければ、70歳以上になっても働き続けていくことはむずかしいのではと思います。社員と会社がお互いによかったと思える会社でありたいですね」 に、若手社員の成長をサポートする体制を築いている光真製作所。今後も、高齢社員がその能力を発揮できる環境の構築に努めていくそうだ。また、池田顧問は、高齢社員が能動的に仕事高齢社員が現場の主力として活躍するとともキャスターつきワゴン。完成した製品を積載し、ワゴンごと配送車に積み込む2022.914 

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