エルダー2022年9月号
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定年後の継続雇用制度を改定し、個々の事情にあわせた働き方を実現同社の定年は60歳。2005年に希望者全員を導入した。実際には、この制度導入以前から、定年後も働くことを希望し、継続して勤務する社員が多くいたという。さらに、2014年に制度を改定し、65歳に到達した社員がその後も働くことを希望し、職務遂行能力に問題はないと会社が判断した場合、年齢の上限なく継続雇用する制度を整えた。現在の最高年齢者は72歳。かつては、79歳まで勤務した社員もいるそうだ。継続雇用については、当初は1年ごとの更新としていたが、現在は3カ月ごととしている。また、以前はフルタイム勤務を基本としていたが、現在はそれぞれの体調やライフスタイル、職種や職務能力、および要望に合わせて処遇や勤務形態を個別に決定しており、本人の体調の変化や要望、家族の事情などに対応しやすくするため、3カ月ごとに管理職と面談し、それぞれの要望を出し、事情などを話し合い、「人に合わせた」定年後の働き方を実現している。現在60歳以上の社員4人の勤務状況は、次の通りである。同社では、予想される将来の人材不足に備え、2013年より施設外就労の請負を開始。現在は近隣の四つの就労継続支援事業所と契約を結び、同社の業務のうち検査、梱包、部品をハンガーに吊る作業、持ち帰り内職(組立)、工場内での軽作業を、施設外就労者がになっている。中小企業の同社は、従来から人が集まりにくく、採用活動に苦労があった。加藤一か博ひ代表取締役社長は、人材不足が深刻になる将来をみすえ、「高齢者や障害のある人などさまざまな方にお手伝いしていただきたいと考え、取り組んできたことで、多様な人材が働く職場になりました」と現在の同社を説明する。ずろ     ・‌60代前半のAさん(女性)・‌68歳のBさん(男性) ‌30年以上勤務している熟練者。塗装剥離とい・‌68歳のCさん(男性)・‌72歳のDさん(女性)‌検査業務を担当。5年ほど前に経験者として‌勤続20年超のベテラン。治具の剥離とハン‌検査業務を担当して約15年。現在は家庭の事当するが、サポート業務も担当し、つちかってきた能力、経験を伝える後継者育成や施設外就労者のサポート役を務めている。力を発揮して、障害のある人や若手の「現場の入社し、フルタイムで勤務。う、付着した塗膜を落として治具の品質を維持する技術が必要な作業を担当し、フルタイムで勤務。ガーにかかる塗料をはがすなど技術が必要な作業に従事し、フルタイムで勤務。情で、月曜日から木曜日は6時間(9時~‌16時)、金曜日は5時間(9時~‌15時)の短時間勤務。基本的に、高齢社員は定年前と同じ仕事を担高齢社員は「現場のサポート役」障害のある人や若手社員を見守る4人の高齢社員は、それぞれが持つ技術や能加藤一博代表取締役社長 (写真提供:協伸静塗株式会社)2022.92065歳まで嘱託社員として雇用する継続雇用制度

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