エルダー2022年9月号
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―2021(令和3)年4月より従来の60歳定年制と65歳までの再雇用制度を見直し、れました。制度改定の背景とねらいについて教えてください。―従来の再雇用制度では、どんな問題点や課題があったのでしょうか。らないのでしょうか。制度を65歳まで継続することになれば、当然人件費が増えることになります。―「65歳まで現役社員」ということですが、―65歳定年とはいえ、従来と変わらぬ昇給島田当社は2020年度から2024年度  す。そこで電気設備工事を中心とする事業をまでの中期経営計画「VISION24」を策定し、そのなかで重点施策4項目を掲げています。「安全・品質、コンプライアンス」、「人材の確保・育成と働き方改革」、「顧客満足度向上の追求」、「未来を見据えた企業価値の向上」の四つです。二つめの「人材の確保・育成」については、建設業全体で人材不足が大きな問題になっていますが、当社も人材の確保は大きな経営課題であると認識していま展開している当社にとって、施工力に直結するベテラン社員である施工管理技術者の力をもっと引き出すことが解決策の一つではないかと考えたのです。そのため働きがいを持っ現場の施工力に直結するベテラン社員に「働きがいを持って仕事をしてもらう」ためにて仕事をしてもらおうと、定年を60歳から65歳まで延長し、かつ70歳まで就業できる仕組みを導入しました。島田 いう名称で、1年ごとの契約更新による65歳までの再雇用制度でした。賃金は60歳到達時点の7割の水準に設定し、仕事の内容も現役社員のサポート役など責任の度合いを多少下げていましたが、賃金が3割下がることでモチベーションダウンがみられました。シニアエキスパート社員のなかには「給与が下がったのにどうして同じような仕事を担当させるのか」という声もありました。そうであれば、むしろ能力や経験もあるベテラン層が力を発揮するために、賃金を下げずに65歳まで現役社員でいてもらう。業種の特性からいっても、どんな物件を、どのぐらいの期間経験したのかが重要ですし、主要な従来は「シニアエキスパート社員」と資格も取得しているベテラン層の技能や知恵が大事になります。それも65歳定年制導入の理由です。島田 て変わらずに65歳まで継続します。賃金は60歳時点の100%というだけではなく、昇給・昇進もあります。昇給額は人によって異なりますが、65歳まで定期昇給がある仕組みです。賞与もこれまでは月例給と連動して70%だったものが100%になります。いう役職定年を設けています。これは若手社員の活性化に配慮したものです。ただし、部署や専門性、地域性などの事情によって適任者が限定される場合は60歳以降も役職を継続します。その場合は、事前に合理的理由があるかどうかを経営会議で確認し、かつ後任を指名したうえで、育成を含めたバトンタッチの時期も確認しています。人事・賃金制度や福利厚生なども含め一方で、ラインの部長職は60歳で外れると2022.92住友電設株式会社 取締役 常務執行役員島田哲成さん65歳定年制と70歳までの再雇用制度を導入さ65歳定年制になっても60歳以降の処遇は変わ

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