エルダー2022年9月号
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3定評価年・延処長遇時制に度おのけ構る築のポイントて、いったんそれまでの正社員としての雇用契約が終了し、新たに非正社員として再雇用(新しい労働契約)されることになるため、定年前と比べて処遇を柔軟に変更しやすい点がメリットとしてあげられています。なお、一般的に定年再雇用後は定年前と比べて本人に期待する役割(職務や職責)を変更しているケースが多く、評価・処遇制度については前述の「人事制度非接続型」の枠組みで構築する企業が比較的多いようです(もちろん、人事制度接続型で定年再雇用制度を構築することも可能です)。そこで、ここでは人事制度非接続型の枠組みを基礎として、高齢社員の活躍を促進する定年再雇用制度を構築する際のポイントについてみておくことにしましょう。具体的には、①高齢社員個人の能力や意欲に応じて、本人が選択できる働き方のコースを設計する②コースごとに、高齢社員に期待する役割や評価・処遇制度の詳細を設計するの2点が重要になります。筆者はこの構成を「コース別定年再雇用制度」と呼んでいます(図表2・3)。例えば、定年再雇用後も高いレベルでの活躍を期待する社員に対しては、「エキスパートシニア(管理職級あるいは高度専門職級としての位置づけ)」のような形で、標準的な再雇用者よりも上位のコースを設けることができます。期待役割のレベルにより賃金差をつけたり、仕事ぶりによって人事評価を適切に行うことができれば、高齢社員のモチベーションアップにつながることが期待できます。発揮が期待される一部の高齢社員に対しては正社員同等の役割(内容は現役時とまったく同じでなくてもよい)を継続してになってもらいたいという方針の強い企業では活用しやすい仕組みといえるでしょう。用形態は非正社員)は、いわゆる「同一労働同一賃金」法制の対象となるため、適法な運用ができているかどうかのチェックも必要になりますので、くれぐれも注意するようにしてください(厚生労働省が発表している「同一労働同一賃金ガイドライン」※の内容についても参照)。現役を志向する企業であれば、定年前と同様の期待役割を継続する「人事制度接続型」の構成を基礎とした定年延長の仕組みが適している部分があり、近年では実際に定年延長を行う企業定年後も引き続き活躍する意欲が高く、能力なお、一般的な定年再雇用制度の枠組み(雇高齢社員の活用方針として中長期視点で生涯図表1 高齢社員の活用に向けた評価・処遇制度構築における主要な論点区分(1)雇用形態・基本的な考え方として、高齢社員に対して定年前と異なる貢献・働き方を求める・定年前後で期待する役割や賃金、その他の労働条件を変更する・高齢社員活用に向けて人事制度を改定する際、定年後の人事制度だけを見直すケースが多い・基本的な考え方として、高齢社員に対して定年前と同等の貢献・働き方を求める企業が多い・定年前後で期待する役割や賃金、その他の労働条件を変更しない・高齢社員活用に向けて人事制度を改定する際、全社的に人事制度を見直す場合がある(2)既存人事制度との対応関係特徴①人事制度非接続型②人事制度接続型①定年再雇用制度の活用②定年延長の実施①人事制度非接続型 (定年再雇用制度導入 企業に比較的多い)②人事制度接続型 (定年延長実施企業に 比較的多い)※ 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf※株式会社新経営サービス人事戦略研究所作成資料39 生涯現役時代の高齢社員活躍支援のポイント

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