エルダー2022年9月号
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(これまでは下がっていた賃金分が下がらなくなる対象者層)、会社が許容できる総額人件費の上昇分を超えてしまうようであれば、60歳以後の制度改定だけではなく、全社的な賃金カーブの見直しも視野に入れる必要が出てきます。るために、40歳以後の賃金カーブを全体的に下げるように再設計する例があります。とはいえ、中間層の賃金をたちまち引き下げるわけではなく、等級制度の再設計による社員格づけの変更をともなう賃金ダウンや、定期昇給額のダウンなど(いずれも評価の低い社員が対象になりやすい)、さまざまな制度改定を組み合わせて、かつ数年程度をかけて段階的に実施することになります。す場合と比べて企業としての取組みの負担度合いは大きいものの、総額人件費の課題だけにとどまらず、雇用期間の延長をふまえて生涯賃金の再設計を行うという点で本質的な取組みでもあります。取組みにかけられる時間的余裕があり、かつ定年延長を機に抜本的な人事制度改定に取り組みたいと考える企業であれば、中長期視点で検討していただきたいテーマです。てお伝えします。具体的には60歳以後の賃金上昇分をカバーす上記の方法は、60歳以後の仕組みだけを見直次回は、「高齢社員の多様な働き方」につい図表4 定年延長の決定にあたって検討すべき人事制度上の主要な論点※ここでは60歳から65歳へ定年年齢を延長する設定として考える図表5 定年延長時の制度設計における人事制度接続型/人事制度非接続型それぞれの対応方針テーマ①定年延長後の期待役割と評価⇒定年延長により、定年前後の期待役割を変更するか否か、人事評価をどうするか②定年延長後の評価・処遇⇒定年延長により、人事評価の基準・評価方法を変えるか否か  定年延長により、60歳以後の賃金を変更するか(引き上げるor引き下げる)、 60歳以前の賃金も変更するか(全社的な賃金制度改革)③定年延長後の働き方⇒定年延長により、高齢社員の配置・異動・労働時間をどのように設定するか①定年延長後の期待役割②定年延長後の評価・処遇③定年延長後の働き方定年前と同様の期待役割基本的には定年前と同様基本的には定年前と同様人事制度接続型定年前と異なる期待役割→管理職のサポートや後進への技能伝承など、 高齢社員としての知識・経験を活かせる 分野が望ましい期待役割に応じた評価・処遇を行うことが望ましい多様な働き方のパターンを用意できれば望ましい人事制度非接続型※株式会社新経営サービス人事戦略研究所作成資料※株式会社新経営サービス人事戦略研究所作成資料41生涯現役時代の高齢社員活躍支援のポイント

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