エルダー2022年9月号
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―65歳定年制になってからの社員の反応はいかがですか。以降の再雇用制度について教えてください。―65歳定年制と同時にスタートした、65歳増加する人件費はそれに見合った成果・貢献があれば問題ない島田 当社の社員の大半が、電気設備工事などを管理する「現場代理人」と呼ばれる責任者の仕事をしています。当社にとって最大の資源は人であり、人の能力を発揮させることが一番大事であることを経営陣も理解しています。定年が65歳に延びることで人件費はかかりますが、それに見合った力を高齢社員が発揮し、会社に貢献してくれるのであればよいと、経営トップも理解してくれました。また、当社は受注する工事現場単位で採算を計算するので、人件費が増えても回収できるかどうかをわかりやすく示すことができた点も理解につながっています。島田 た賃金3割削減が、10割に戻ったことでモチベーションが上がったという声がよく聞かれます。ライン長も年上の社員に仕事をお願いする際、以前は給与が下がったことで遠慮が働いていたようですが、いまは業務上の指示を出しやすくなっている側面もあると思います。最近は、資格と経験を持つ50代のキャリア採用も行っていますが、応募者が増えつつあります。以前は52〜53歳で入社しても定年までわずかしかありませんでしたが、現在は65歳まで処遇は変わらず働けるうえに、希望すればさらにプラス5年働くこともできます。キャリア採用の応募者にとっても、当社を選ぶ理由の一つになっているのではないでしょうか。モチベーション低下の原因とされてい島田 ト社員制度を、65〜70歳にスライドしたものです。65歳以降の処遇については、それまでの職階ごとに65歳時点の55〜80%水準を設定し、さらに個々人の役割・責任のレベルを4段階のいずれかに格づけします。「一律何割」と下げるのではなく、役割・責任に応じて異なり、平均値は現役世代の70%程度になります。1年ごとに契約更新し、契約更新の際に役割の変更がなければ給与の見直しはありません。例えば、本人から責任を軽くしてほしいという申し出があれば、それに応じて格づけを見直し、給与も変わるという柔軟な仕組みにしています。改正高年齢者雇用安定法の要件に適合させるには、再雇用基準を明確にして社員に公開する必要があります。具体的には健康であるこ基本的には、従来のシニアエキスパーまた、再雇用者の要件を設定しています。3エルダー

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