エルダー2022年9月号
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大きな役割や権能を有する労働組合ですが、※ ①②③は厚生労働省ホームページ「労働組合」より引用■■ ■労働組合は法律で定められた組織労働組合にはさまざまな種類があるす※。この権利は日本国憲法第28条で定められ、今回は、「労働組合」について取り上げます。知らない方はいないくらいメジャーな用語ですが、ポイントを絞って解説していきます。労働組合(略称、労組)を理解するためには労働三権について触れる必要があります。労働三権とは、①労働者が労働組合を結成する権利(団結権)、②労働者が使用者(会社)と交渉する権利(団体交渉権)、③労働者が要求実現のために団体で行動する権利(団体行動権〈争議権〉)という労働者の三つの権利をさしていまその実現にあたり労働組合法により労働組合の役割や権利、実行する能力等(権能)が詳細に定められています。労働組合の定義は、労働組合法で「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」と定められています。労働組合が有する権能で一番大きなものに労働協約の締結があります。労働協約とは使用者と労働組合の間で交わされる労働条件に関する約束のことをいいます。労働協約の効力はかなり強く、労働協約に反する労働条件の提示や遂行は法的には無効となります。この労働協約を結ぶにあたり、使用者に組合員を代表して労働条件の改善に向けた要求を伝え交渉をする権利(団体交渉権)や、要求が通らない場合に組合員をまとめて抗議行動する権利(団体行動権)も認められています。団体交渉権の行使でもっとも有名なものは春■闘■です。多くの会社の賃上げや労働条件の改定が行われるのが4月であるため、その前の2月あたりに労働組合より改善について要求、3月中には交渉を経て妥結という一連の流れが春に行われることから春闘といわれています。また、団体行動権の行使でよく聞くものとして〝スト〟があげられます。これは、仕事をしないで団体で抗議することが認められたストライキ権のことをさしています。なお、組合が交渉を要求した際に使用者が拒否をすることは不当労働行為として正当な理由なくできないとされています。このように労働組合の権能は大きく、労働者のだれもが有する労働三権について団体として行動することで、これらの権利を効果的・効率的に推進していくのが労働組合ということが理解できます。株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2022.948「労働組合」第28回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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