エルダー2022年9月号
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労働組合の組織率や組合員数は低下傾向0(年)雇用者数労働組合員数推定組織率雇用者数・労働組合員数令和元平成元 05労働者が主体的・自主的に結成するものなので、労働者が複数人集えば行政機関の届出等なしに自由に結成できるとされています。このため労働組合の有無は会社によって異なりますし、一つの会社に一つの組合という制限があるわけでもありません。かつてある航空会社が経営危機に陥った際に組合が八つ程度あり、交渉に時間がかかると話題になったことがありました(現在は四組合に再編)。日本の場合、労働組合の結成単位のほとんどが会社単位であり、企業別組合が年功序列・終身雇用と並び日本の企業の特徴と呼ばれることもあります。しかし、欧米では産業別組合が主要であり、このほか、職種別や地域別といった組合もあり、その形態はさまざまです。例えば日本でも社外の労働者が集まって結成する組合があり、合同労組と呼ばれたりします。企業内組合では加入対象外になることが多い管理監督者やいわゆる非正規労働者、会社に労働組合がない労働者が組合員となるケースがあります。このような社外の労働組合であっても団体交渉を要求された場合には、使用者は応じる必要があるとされています。さて、日本の労働組合の大多数を占める企業別組合ですが、活動は同一組織内だけで完結するわけではありません。これらは単位組織と呼ばれ、同じ業種の単位組織が集まってつくられた産業別組織、さらに産業別組織が集まったナショナル・センターという全国中央組織に加盟している場合もあります。ナショナル・センターは複数ありますが、最大の組織は日本労働組合総連合会(連合)です。単位組織だけではむずかしい春闘の主導や政策提言、政府への要請活動などの役割をになう団体です。いと思います。図表を参照すると、雇用者数(労働者数)は増加傾向にある一方で、雇用者数に占める労働組合員数の割合である推定組織率は低下傾向にあることがみてとれます。最盛期には55%を超えていたという組織率が、直近の2021(令和3)年には16・9%にまで落ち込んでいます。また、図表にはありませんが同調査で2017(平成29)年では24465組合あったものが、2021年には23392組合と組合数自体も減っています。このような状況を背景に、従来は正社員中心で構成していた労働組合も加入対象の範囲を広げようとしていますが、同調査のパートタイム労働者の組織率は2017年7・9%のところ、2021年8・4%と増加しているもののなかなか加入が進んでいないのが実態です。働き方や価値観が多様化しているなかで、労働者個人が望んでいることを統一の要求として集約していくことがむずかしく、労働者として組合に加入するメリットが少ないとの意見もあり、今後の組織率の上昇は困難な課題といえそうです。最後に労働組合の動向について触れていきた次回は、「社員教育」について取り上げます。出典: 令和3年労働組合基礎調査の概況(厚生労働省)(万人)ピーク時(平成6年)労働組合員数12,699千人70006000500040003000200010002345678910111213141516171819202122232425262728293023353025201510(%)40推定組織率(右目盛)49エルダー図表  雇用者数、労働組合員数及び推定組織率の推移(単一労働組合)■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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