エルダー2022年9月号
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が、やはり若者を採用し、大企業ほど階層化された組織ではないものの、地位と能力の向上に励む活力を企業経営に活かしてきたという点では同じでした。しかし、年齢を重ねると地位と能力の向上意欲は低下していきます。その傾向を図表2に示します。地位向上の意欲は現状より上の役職への昇進意欲、能力向上の意欲は自己啓発実施割合としてあらわしています。男性は、年齢が上がると昇進意欲・自己啓発実施割合とも低下する傾向が顕著です。女性も昇進意欲は低下傾向がみられます。ただし、自己啓発は年齢が上昇してもそれほど低下しておらず、男性と比較しても高い割合を示しています。能力の向上という意味では、45〜64歳の中高年期は男性より女性の方が意欲的であるといえます。男性のなかにも意欲の低下が顕著な人とそれほどでもない人がいます。図表3は、45〜64歳の昇進意欲を学歴別に示していますが、男性のなかでも学歴が低い人ほど昇進意欲は低く、係長以下の非管理職層はさらに昇進意欲が低くなります。次に学歴別に過去1年間の自己啓発実施割合を見たいと思いますが(図表4)、ここでも学歴による差は歴然としています。近年、中高年期の学び直しやアンラーニングが話題になっていますが、「過去1年間に新たに学んだ仕事上の知識や資料:(独)労働政策研究・研修機構「職業と生活に関する調査」(2019年)、労働政策研究・研修機構(2022)p.79をもとに筆者作成資料:(独)労働政策研究・研修機構「職業と生活に関する調査」(2019年)、労働政策研究・研修機構(2022)p.81をもとに筆者作成0%10%中学・高校大学以上中学・高校6.0%5.6%7.0%5.6%大学以上男 性専門・短大・高専大学以上20%16.1%14.1%20.9%15.0%17.5%70%60%50%40%30%20%10%0%中学・高校30%40%26.7%34.0%29.3%女 性専門・短大・高専大学以上正規全体係長以下自己啓発あり新たに学んだ、仕事知識技能あり2022.952図表3 男女別・学歴別 次の役職への昇進意欲 [45〜64歳・正規雇用]男 性専門・短大・高専女 性専門・短大・高専図表4 男女別・学歴別 過去1年間の自己啓発実施割合[45〜64歳・正規雇用]70%60%50%40%30%20%10%0%中学・高校

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