エルダー2022年9月号
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地位・能力の向上より社会参加技能がある」という割合も男性に関しては学歴が低いほど相対的に実施割合が低いという結果になっています。若者がマジョリティであった時代の日本企業は、エリートもノンエリートも、みんなが昇進意欲をもって勤勉に働くことを企業の活力としてきました。しかし、労働力のミドルエイジ化により、そうした雰囲気はなくなり、地位・能力の向上に意欲的なエリートとそうではないノンエリートの分断が起きる可能性があります。その傾向は、日本的雇用慣行の基幹的労働力とされてきた男性において顕著です。反対に女性は昇進意欲こそ男性より低く、年齢とともにさらに低下していきますが、能力の向上については中高年期も意欲的です。その意味で、男性より女性の方が今後の経済社会の牽引役として期待できるといえそうです。労働力のミドルエイジ化が進む今後の日本では加齢にともない能力向上意欲などの低下傾向が見られる一方で、年齢を重ねても活力が低下しないところを起点に社会の活性化を考えた方がよいです。では、年齢を重ねても活力が落ちていない活動とは、どのようなものでしょうか。図表5をみてみましょう。これは町内会やNPOといった団体に所属して行う社会的活動(社会団体活動)の実施割合を性・年齢別にあらわしています。男女とも45歳以降に実施割合が低下するとはいえず、どちらかといえば横ばいです。興味深いのは、60ー64歳だけでなく、50代以下資料:(独)労働政策研究・研修機構「職業と生活に関する調査」(2019年)、労働政策研究・研修機構(2022)p.81をもとに筆者作成資料:(独)労働政策研究・研修機構「職業と生活に関する調査」(2019年)、労働政策研究・研修機構(2022)p.82をもとに筆者作成特別寄稿労働力のミドルエイジ化とその活力35-44歳45-54歳0%20%55-59歳60-64歳40%37.0%34.7%40.5%41.9%43.7%男性(N=1722)女性(N=943)60%80%62.5%男性(N=882)女性(N=433)53エルダー図表5 性・年齢別 社会団体活動実施割合[正規雇用]60%40%20%0%25-34歳図表6 男女・学歴別 社会団体活動実施割合[45〜64歳・正規雇用]中学・高校専門・短大・高専大学以上3

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