エルダー2022年9月号
59/68

333キャリアコンサルタント・人事パーソンのための組織で働く人のキャリア形成を支援する本誌2022(令和4)年1月号から6月号にかけて連載し好評を博した「シニアのキャリアを理解する」の筆者・浅野浩美氏が著書を上梓した。タイトルの通り、働く人のキャリアを支援することに正面から向き合った書籍である。時代の変化の加速化と職業人生の長期化とがあいまって、キャリアコンサルティングの必要性が高まり、今度は企業の人事労務担当者が、キャリアコンサルタントと連携する機会が増えることは間違いないと考えられる。とはいえ、キャリアコンサルティングの役割を十分に理解していない担当者は少なくない。本書はキャリアコンサルタントを目ざす人に加え、キャリアやキャリアコンサルティングについて知りたいという人が手に取ることを想定している。このため、企業領域を意識した記述を充実させるとともに、学びやすいように、厚生労働省が示すが特徴のひとつ。比較的学びにくい法制度や政策部分の充実もうれしい。購入者特典として、カバー裏のQRコードからウェブサイトにアクセスすると、キャリアコンサルティングに関する情報や本書の更新情報が公開されているので活用してみてほしい。キャリアコンサルティング退職者を出さない管理者が必ずやっていることこんな会社で働きたい3つのポイントでわかる、できる管理者の共通点本書の著者は、介護業界で18年間勤務し、リーダー、管理者も経験。離職率が高いといわれる業界で、老人ホーム施設長として「2年間退職者ゼロ」の職場をつくりあげた。その後、教育担当などを経て起業。現在は、「職場いきいきコンサルタント」として社員研修やコーチング面談を行い、職場の環境改善に励んでいる。著者自身、施設長時代には、立て続けに職員が退職するなど多くの挫折を経験した。くじけそうなときもあったというが、離職率の低い職場について研究を重ねるなかで、そうした職場の管理者に共通点を見出し、真似ることで「2年間退職者ゼロ」に至った。その共通点には、三つのポイントがあるという。①管理者は特別な存在であることを自覚する、②自分から先に変わる、③相手のすべてを承認する。これらを理解し、行動すれば、「職員が変わり、退職者が減っていく」と著者。本書では、三つのポイントに分けて、「職員とのベストな関係」、「自分の考えを押しつけない」といった管理者としてのふるまいや考え方などを明快な表現で説いている。介護業界にかぎらず、あらゆる職場の管理職やリーダーの支えとなり、心を動かしてくれる言葉があふれている。ニューノーマル対応の健康経営企業編従業員の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取組みを戦略的に実践する「健康経営Ⓡ」が注目されている。経済産業省が東京証券取引所と共同で上場企業のなかから選定する「健康経営銘柄」は、「健康経営度調査」に回答することが求められるが、その回答法人数は年々増加。調査を開始した2014(平成26)年の493社に対し、2021(令和3)年は過去最多の2869社となっている。本書は、「従業員の健康に配慮する会社で働きたいと望む就活生に向けて、自分に合った健康経営企業を探すためのヒントとしてまとめられた」というのも、経済産業省の「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業(健康経営・健康投資普及推進等事業)」のなかで、就活生1399人を対象に実施されたアンケート調査によると、43・8%の就活生が「従業員の健康や働き方に配慮している」企業に就職したいと回答。用意された回答群のなかでは、「福利厚生の充実」(44・2%)の次に高い割合であった。こうした状況をふまえ、本書では「健康経営Ⓡ」を推進する13社を取材し、担当者の声や実践内容を紹介している。これから取り組みたいと考えている企業にとっても参考になる内容だ。「能力体系」に沿った形でまとめられているの森崎のりまさ 著/HR総合研究所 著/クロスメディア・パブリッシング/浅野浩■■美■ 著/労務行政/3300円産学社/1650円クロスメディア1628円57エルダー管理職も職員も変わっていく職場づくり。そのヒントを明快な表現で解説キャリアをめぐる問題の理解を深めたい人事労務担当者必携の書「健康経営■」の視点から13社の取組みと考え方を紹介

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る