エルダー2022年9月号
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―現在はどのくらいの人が再雇用されていますか。―高齢社員の役割の一つとして「技能伝承」も期待されています。どのような取組みを行っていますか。―65歳以降も働くとなると、特に建設業では労働災害防止の取組みも重要です。また人によっては介護など家庭の事情でフルタイム勤務がむずかしい人もいるかと思います。にアドバイスをお願いします。―今後65歳定年制や70歳雇用を目ざす企業(聞き手・文/溝上憲文撮影/中岡泰博)高齢社員に能力を活かし活躍してもらうには会社としての期待をしっかりと伝えることとが再雇用の大前提ですが、大きなポイントは「過去3年間の能力行動評価の平均が、規定に定める具体的評価を超えている者」とし、評価結果を真ん中よりやや上のレベルに設定しています。一方でこの評価基準に達しない場合でも、どうしても事業部門で必要だということであれば「会社が認めた者」として再雇用できるようにしています。島田 もちろん65歳まで働いたから十分だという人もいます。実際は希望した人の半分以上が再雇用されています。現在、30人ほど65歳以上の再雇用者が勤務しています。島田 新入社員は入社後最初の5〜6年は先輩のもとで仕事を覚えながら働き、その後、小さな物件の現場代理人となり、経験を重ねて40歳前後で受注金額の大きい大規模な工事を担当するようになります。技能伝承という点では現場単位でベテラン層と若手層を組み合わせて配置し、OJTで育成することを現場の責任者のタスクとしています。ただ、技能のノウハウは暗黙知の部分も多いですし、わかりやすく説明するのはむずかしい。いま、いかに暗黙知を形式知化、見える化することができるのか、各部門で一生懸命に取り組んでいるところです。島田 リスクは高くなります。ただ当社の社員は現場代理人という技術者なので直接作業するわけではありません。むしろ管理者として高齢の作業員がいる現場を担当する場合は、転倒防止や転落、腰痛防止の基準などのルールを遵守させて管理することを徹底しています。家庭の事情などでフルタイム勤務がむずか  しい場合は、安全管理の教育担当や内勤業務など、後方支援業務を担当することもできます。例えば週3日勤務など、職場のニーズと建設現場の作業員が高齢化すると労災すり合わせながら個別に対応しています。島田 がんばってほしい」といった、会社としての期待を全員にしっかりと伝えることが大事だと思います。また、65歳以降については再雇用基準を設けましたが、「どうしてあの人が雇用されて自分は雇用されないのか」と思われないよう、基準に対する納得性を得ることが大切です。そのためには日ごろから上司と部下のコミュニケーションが大事です。60歳以降の再雇用時は1年契約の更新時に人事部門が一人ひとりと面談をしていましたが、65歳定年制になると所属部門の役割が重要になります。本人の働きぶりに目を配りながら65歳以降についても一人ひとりのケアが大切であることを事業部門に意識させるのも、人事部門の重要な役割だと思います。制度を変える際は、「いままで以上に2022.94住友電設株式会社 取締役 常務執行役員島田哲成さん

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