エルダー2022年10月号
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どを展開。地域に貢献する「地域スーパーゼネコン」として地歩を固めてきた。なかでも環境に貢献するグリーンビズ事業や社会貢献を目ざす高齢者介護施設紹介事業は企業イメージの向上に大きな役割を果たしている。Ⅲ社員数84人中、60歳以上の社員は13人で15・5%を占めている。最高年齢者は75歳である。同社は企業競争力強化を目ざして、外部からの採用を含め高齢者雇用に注力しており、現会長自らも、他社で定年まで勤めた後、社長として招へいされて同社に入社した経歴の持ち主である。現会長は社長に就任時より、さまざまな改革を行った。社員の人材育成こそ喫緊の課題だと考え、新卒採用を強化しつつ技術力をはじめとした必要な教育訓練を充実させ、地元の協力業者を率いてしっかりと工事を管理監督できる人材の育成に取り組んできた。人材育成のにない手として目をつけたのが、経験豊富な高齢者だ。会長自身の出身会社や同業現役社員に対しては定年後に同社に入社することをかけあうとともに、すでに定年退職している人材には入社の声かけを行った。入社が実現すると彼らを技師長に任命して、機械・電気設備、品質管理等各部門の指導役とし、一人には若手を指導する企業内アカデミーの校長を委嘱した。業の柱を打ち立てる経営方針のなか、地域貢献にも取り組み、2012年8月に高齢者介護施設紹介事業に進出、2021年には障害者就労支援事業にも進出した。この二つの分野には60代の女性社員をそれぞれ事業の中心をになう人材として抜擢。新しい事業への進出は、それまで建設会社としての同社の企業イメージを一新し、会社を大きく成長させた。(1)制度に関する改善▼定年の延長と継続雇用制度る制度を導入した。これにより高齢期に近かった社員や再雇用者のモチベーションが向上した。高齢社員には、それまでつちかってきたキャリアを継続させて後継者育成に努めてもらうほか、適性を考えて新規事業や社会貢献事業に起用するなどしている。再雇用者の処遇は与えられた役割と貢献度をもとに経営トップの会長と社長が決定する。現在、さらなる高齢人材の活躍に向け、70歳までの選択定年制度を検討中である。▼多様な勤務形態人材育成と並行して、多柱経営と称した新事2021年2月に就業規則を改定し、定年を定年後の再雇用については、一般社員と同様5高齢者介護施設紹介事業や障害者就労支援動負担の軽減や現場作業の危険回避に取り組んでいる。事業などの社会貢献につながる事業では、経験豊富な60代女性社員が中心となって活躍しており、業績と企業イメージの向上につなげている。Ⅱ同社の前身は、1970年に地元企業の現・小松マテーレ株式会社の関連会社として設立された北陸東レハウジング株式会社であり、その後1975年に株式会社トーケンに社名を変更した。本業である建設事業(社屋や工場、商業施設、病院や集合住宅建設)をはじめ、不動産開発事業(商業店舗開発、宅地・工業団地開発)、賃貸管理事業(賃貸マンション管理)、グリーンビズ事業(屋上・壁面緑化)、高齢者介護施設紹介事業(高齢者介護施設の相談・紹介)な企業の沿革・事業内容高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方改善の内容1365歳に延長、70歳までの希望者全員を再雇用す金沢本社(上)、小松本社(下)Ⅳ

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