エルダー2022年10月号
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のフルタイム勤務と、所定労働日数または所定労働時間が少ない勤務の2種類を設定しており、本人のライフスタイルに合わせた勤務形態を選択することができる。▼技師長制度・顧問制度技術力と与信力向上のため、大手ゼネコンを定年退職した人材を技師長や顧問として招く「技師長制度」、「顧問制度」を2008年から導入した。技師長は週休2日もしくは3日のフルタイム勤務。顧問は常勤ではなく、週数日や月数回の頻度で若手や中堅の指導にあたる。技師長や顧問は社内研修会の講師としても活躍しており、各分野のレベルアップに貢献している。(2)高齢社員を戦力化するための工夫▼社会貢献事業で高齢女性が活躍二つの地域貢献部門を創設して地域共生社会に貢献しており、それぞれの事業で60代の女性社員が抜擢され、活躍している。高齢者介護の悩みに応えるため設立した高齢者介護施設紹介事業では、68歳の女性社員がセンター長をまかされており、相談者からの感謝の言葉が、やりがい・生きがいにつながっている。また、地域共生社会実現を目ざした障害者就労支援事業「Buddy(バディー)」では、63歳の女性社員が細やかな気配りを発揮し、「休みがちだった子が仕事を楽しみ、毎日来るようになった」という指導員の声にやりがいを感じている。▼胎動塾スタート「企業が成長するも停滞するも人」という信念のもと、社員に意識改革をうながすとともに、自ら研鑽の場とする「胎動塾」を2008年にスタートさせた。社員のなかから毎月2人、年間24人が、経営のトップからテーマとともに指名されて30分の発表を行うもの。かつては集合形式で行っていたが、IT環境の充実が進み、リモート形式で各事業所や現場からも参加できるほか、動画配信も行っている。発表者はテーマに沿って学習を深めるため、知識が身につくのはもちろん、プレゼンテーションの技法も習得でき相乗効果は大きい。また、全員参加であるため業務上の体験や考え方について社内での理解が広がり、刺激となっている。若手や中堅にとっては能力向上の絶好の機会となり、また、ベテランや高齢社員にとっては経験やノウハウ伝承の場となり、世代を超えたチームワークを醸成する効果がある。高齢社員の発表テーマはさまざまで、ある部長職は自身が担当した二つの建設現場(大きなクレームとなった失敗例と同社初の超大型工事の成功例)を披露し、それぞれの体験から得た教訓を伝え、中堅や若手社員の共感を呼んだ。▼トーケンアカデミーの開設研修所「トーケンアカデミー」を開設した。これは、新入社員が現場監督として安心してスタートできるよう、入社後5カ月間にわたって研修を行うプログラム。新入社員はカリキュラムに沿って現場研修も行いながら仕事に備えていく。また、新入社員だけでなく若手社員もフォローアップの対象となる。長は建設関連資格を数多く持ち、建物の診断業務も担当している。受講する若手社員にとっては教わる内容が直接現場で活きるだけではなく、自身のキャリア形成の参考にもなり、技術者としての自覚や意識の向上につながる。加えて一緒に学ぶことで同期意識も醸成され、講師も含め社内につながりができることで職場や会社への定着効果も期待される。技師長は講師として自身の知識や経験を伝えるだけではなく、育成計画やカリキュラム、教材作成もになう。また、各種資格(建築士や施工管理技士)取得を目ざす若手に受験勉強についても指導を行っている。トーケンアカデミーの講師には高齢社員が登壇することも多く、校長や講師の高齢社2020年に、現場技術者育成のための社内大手ゼネコン退職後、校長をまかされた技師14 障害者就労支援事業「Buddy」生産作業の様子株式会社 トーケン

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