エルダー2022年10月号
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員にとっては若手社員の育成がやりがいとなり、お互いのモチベーション向上につながっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼IT活用の取組み2014年から金沢本社と小松本社の2本社制とした。そのため、建設現場と本社間の情報共有の円滑化のために、2017年から本格的にIT活用を強化した。建設現場に高性能ライブカメラを設置して遠方の現場に移動せずとも本社内で状況が把握できるようにしたほか、テレビ会議システムや音声・ビデオ通話、タブレット、スマートフォンなどを活用しコミュニケーションの充実を図っている。また、現場ライブカメラのズーム機能(60倍ズーム)や高解像度、全方位確認機能などにより、高齢社員は現場映像から状況を把握・分析して現地の監督者に適切なアドバイスができるようになっている。▼健康経営の推進「社員の健康が会社を元気にする」との考えのもと、2018年から社員の健康を会社でサポートするための「健康経営」に取り組んでいる。以前は、健康管理に対する社員の意識は低かったが、人間ドック受診費用を全額会社負担としたほか、定期健康診断にがん検診や歯科検診を追加するなど取組みを強化した結果、健康に対する意識が高まった。なお、このほか、さまざまな取組みも評価され、2019年から4年連続で経済産業省の健康経営優良法人認定を受けている(2021年から2年連続ブライト500認定)。▼福利厚生毎月1回開かれる全社員参加の例会では、その月に誕生日を迎える社員に記念品や、資格取得や結婚・出産などの慶事の祝い金が社長から手渡され、全社員が拍手で祝福するのが慣例となっている。さらに、コロナ禍前は、お花見や温泉地での忘年会、ゴルフコンペ、ボウリング大会などのレクリエーションにも力を入れており、社員間のコミュニケーション促進の場となっている。(4)そのほかの取組み現場管理や設計部門では、技術者の高齢化にともない、人材確保が困難となっている。そこで、2021年より採用活動の強化を目的に、社員や関係者から知人などを紹介してもらう「リファラル採用制度」を導入した。この制度により2022年春には2人の高齢技術者が入社。技術力の強化や技能の継承につなげている。(5)高齢社員の声他社を定年退職した後、同社に入社し、現在は技師長を務める酢す馬ま峯み男おさん(75歳)は、「現会長から『ぜひ当社に来てほしい』と打診されて入社し、12年以上が経ちました。技術継承のために指導してきた中堅層は多くの資格取得に挑戦して会社に貢献してくれています。また、新しく入社した人にもノウハウを伝えることができ、私の働きがいにつながっています」と、仕事の醍醐味を話す。高齢社員の背中を中堅や若手社員が懸命に追いかけていることがうかがえる。(6)今後の課題もあって、時代が大きく変化しつつあるなかで、決して変化を恐れず「社員が主役の企業」を目ざし、地域の未来を牽引する役割をになっている同社。さらに、高齢社員が経験や技術を活かし、若手や中堅社員の手本となれる職場環境を創出するなかで、多様な人材が力を合わせて「しなやかな強さ」を発揮し、だれもが活躍できる職場づくりを目ざしていく。また、時代の変化を敏感にとらえながら、常に新しい事業に取り組み、地域共生社会の実現に貢献する、という目標を掲げている。これまで経験したことのないコロナ禍の影響15若手を指導する酢馬峯男さん(中央)ね

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