エルダー2022年10月号
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来設計が考えられるようになった」と歓迎されている。この人事評価システム・成長シート導入により、3年連続で業績はアップしており、一人あたりの付加価値額も25%アップ、平均賃金も年平均で4・25%上昇している。また、職種にかかわりなく、日々の業務で生じた課題や問題点を解決するためのアイデアや実際の改善策について申請してもらい、それが承認されると、報奨金が支給される「改善報告制度」を運用している。▼作業手順書の見直し従来の食品製造過程の「作業手順書がわかりにくい」という社員の声を受け、見直しを行った。手順書の内容を工程(一つの作業)ごとに分け、写真を多用。高齢社員からは「機械操作など複雑な作業も写真がありわかりやすくなった」と好評である。この手順書は、常に社員の声に耳を傾け、定期的に改訂していくことを目ざしている。▼情報共有のための取組み同社では業務中にリアルタイムで情報共有を行うため、ビジネスチャットシステムを導入している。これは、宅配だけではなく、独居の高齢の方の見守り(徘徊の発見や緊急時の救急車の出動要請)にも非常に役立っている。▼外国人技能実習生や障害者とのペア就労同社では、高齢社員が、外国人技能実習生や障害のある社員の業務管理から技術支援・指導をになっている。一方で、高齢社員が対応に苦慮することの多い力仕事は技能実習生が担当するなど、相互にフォローし合うことで、それぞれのモチベーションアップにつながっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼食事サービス総合支援システムの開発同社の介護施設の配膳業務をになう厨房受託サービス部門の社員は、32%が65歳以上の高齢社員となっている。しかし、配膳業務は定められた時間までに間違いなく配膳を行う必要があり、厳しい業務内容が高齢社員の負担となっていた。また、介護施設における入居者の食事は、例えば食材の切り方、味つけ、服用する薬との相性など、1施設だけで約300種類のバリエーションがある。加えて、日ごとに異なる入居者の体調も考慮する必要があり、一人ひとりの状況に応じた食事対応については、ベテラン社員の記憶と経験に頼って乗り切ってきた状況がある。そのため、後継者が育ちにくく、人材不足や社員の高齢化への対応も必要であることから、作業負担の少ない効率的な配膳業務の構築が企業経営上の課題でもあった。キャビネットを導入し、作業の効率化を図るとともに、「食事サービス総合支援システム」開発に取り組んでいる。これは、高齢入居者一人ひとりで異なる複雑な食事情報について、介護施設厨房から食材製造工場までシームレスにつなぐデジタル受発注システムを構築し、ICチップつき食器やAI 画像解析「ARグラス」を用いて配膳作業の誘導支援を行う、というもの。「だれでも楽に配膳ができるシステム」を目ざし、厨房のDX化を推進する取組みだ。このシステムは特別な知識や経験を必要としないことから、高齢社員はもちろん障害者雇用の面でも期待が高まる取組みといえる。そこで同社では、真空調理済み食材や再加熱18高齢社員のていねいな仕事は若手社員の手本となっている作業を効率化する再加熱キャビネットモルツウェル 株式会社

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