エルダー2022年10月号
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テラン社員も数名おり、社員を大切にする社風が定着率の高さにつながっている。Ⅲ社員数53人中、60歳以上の社員は23人で全体の43・4%を占めている。最高年齢者は78歳である。もともと高齢者が多い職場で、「高齢だから」という理由で仕事や給料を変えることがなかったこともあり、高齢者雇用について、特別な取組みはしてこなかったという。このような「高齢社員の活躍があたり前の職場だからこそ高齢社員に頼り過ぎていた」ことを反省し、機構の65歳超雇用推進プランナーからアドバイスを受け、ばらつきがあった基本給を整えることから着手。賃金テーブルを作成し、人事考課を賞与や給与に反映させるなど、年齢にかかわりなく、役割に応じた賃金を決定する「役割等級制度」を導入した。だれもが十分に能力を発揮し、評価される制度が整備され、全社員のモチベーションが向上している。(1)制度に関する改善▼定年の延長と継続雇用同社の50代の社員は20人で、全社員の37・7%を占めていることを鑑かみ、2020年に定年を一定条件のもと70歳まで1年ごとの更新で再雇用を行う。70歳以降も、本人の健康状態や希望を優先し話し合いのもと再雇用を行っている。さらに、高齢社員のライフプランや選択の幅を広げるため、60歳以降の選択定年制も導入した。▼短日・短時間勤務制度力の低下や健康状態を考慮して所定労働時間を1日につき1時間から3時間の短縮または隔日勤務を希望できるよう制度化した。現在は短時間勤務を希望する社員は少ないが、家族の介護などが発生した場合に働き続けることができると、社員からは歓迎の声があがっている。▼賃金制度と役割等級制度なかには給与が高すぎたり、仕事のパフォーマンスに関係なく年功的に給与が上がるなど、社員のなかに不平等感があったため、技術レベルや役割の変化に応じた賃金・役割等級制度を策定した。同社は役職定年がないため、例えば定年前に係長だった者が定年後も引き続き係長を務める場合、給与は変わらない。また、定年を迎えて業務量を減らす場合、それに応じて給与も変化させることができるようになった。担当職(Ⅱ等級)、係長(Ⅲ等級)、課長代理(Ⅳ今後、高齢社員が増加することを見すえ、体以前は基本給がそれぞれ異なり、高齢社員の賃金・役割等級制度は、一般職(Ⅰ等級)、ごとの会議や全社員が一堂に会した会議を開催するようにしたところ、ベテラン社員から業務改善や新商品開発に関する意見が多く出され、会社が活発な雰囲気となった。Ⅱ同社は1950年に甲府市で菓子製造・販売の事業を開始、創業71年を誇る。1978年に法人化し、現在の社名となった。創業以来、ウイスキーボンボンや甘納豆、ペクチンゼリーなどを製造し、全国各地の商社・菓子問屋・個人顧客への販売を行っている。1968年の全国菓子博覧会でウイスキーボンボンが技術優秀賞を受賞したのを皮切りに、これまで全国菓子博覧会などにおいて21件の受賞を果たしている。また、全国各地の農産物を利用した商品の委託製造なども行っている。現社長が幼少のころから同社に勤めているベ企業の沿革・事業内容高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方改善の内容んが2160歳から65歳に引き上げた。また、65歳以降は、八雲製菓で働くみなさんⅣ

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