エルダー2022年10月号
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には物流総合効率化法の認定を受けた強耐震3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)の物流センターを新設するなど急成長を成し遂げた。現在は奈良県と愛知県を中心に6拠点の倉庫を保有し、運送業(チャーター便、貸切便、精密機械の運搬など)に加え、配送センターの通販物流事業、タイヤ用品の販売事業も行っている。Ⅲ社員数149人中、60歳以上は28人で18・8%を占めている。最高年齢者は79歳である。就業規則上の社員区分は三つあり、「正社員」は期間の定めのない雇用契約で、週の所定労働時間が40時間の者、「契約社員」は期間の定めのある雇用契約で、週の所定労働時間が40時間の者、「パート社員」は期間の定めがない雇用契約であり、正社員よりも所定労働日数または所定労働時間の少ない者である。同社ではパート社員であっても優秀な人材であれば、リーダー職を任せており、パート社員から正社員に登用することもある。職種は、「運送」、「倉庫」、「事務」の3職種があり、職種別の構成比は、運送が約2割、倉庫が約7割、事務が約1割となっている。事業拡大により、倉庫業の人員が増加している。倉庫業の場合、レンタルのみだと家賃収入しかないが、物販事業を行って付加価値が生まれ、搬入やピッキング、梱包などの作業が発生するようになった。この結果、倉庫業を担当する部門の人員が増えた。この部門の65歳以上の職種別構成は、運送1人、倉庫5人(運搬、ピッキングなど)、事務1人となっている。運送担当者の配置転換はないが、ほかの職種では社員区分を問わず、他事業所に配置転換する可能性がある。(1)制度に関する改善▼定年の廃止と柔軟な働き方機感があり、2017年に定年の廃止を決めた。人材を適宜採用した結果、高齢社員が多くなったことがある。特に、倉庫業の業務が拡大した際に高齢社員が増加したが、だれもが経験を活かして若い人たちに指導できる「人間力のある」人たちで、働きぶりを見ても年齢を感じさせないため、顧問の社会保険労務士と相談し、定年を廃止した。て決定する。本人から「フルタイム勤務はむずかしい」という申出があれば、希望にできるかぎり沿うように、労働時間を変えている。退職時期は本人の希望を受けて決めるが、健康に不事業を拡大する過程で必要な人材の確保に危背景には、業務の拡張にともない必要となる高齢社員の労働時間は、本人の希望を尊重しのよい関係が築かれているため、社員の健康管理において、体調が芳かしくない人をほかの社員がすぐに気づくようになった。このため、経営層や管理職が早期に必要な措置を講じることが可能になり、会社全体の安心・安全につながっている。Ⅱ同社は1970年に創業。物流業界は、近年のインターネット通販ビジネスの急速な拡大により大きく変化し、現社長が就任した2010年は、地場輸送や倉庫管理の需要における同業他社との厳しい過当競争の状況にあった。過当競争の厳しい環境から抜け出すため、「お客様からの物流ニーズに応える」という原点に立ち返り、通販物流事業の立上げと、物流アウトソーシングへの本格的参入を開始した。2017年企業の沿革・事業内容高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方改善の内容んば25本社外観Ⅳ

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