エルダー2022年10月号
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安があり、周囲に迷惑をかけないように身を引くケースや、自らの人生設計に沿い次の進路に向かうために退職するケースもある。▼昇進管理と賃金社員区分や年齢に関係なく、能力と意欲があれば責任ある仕事をまかせており、女性管理職も積極的に育てる方針である。また、パート社員であっても、責任ある仕事をまかされる社員には、仕事に見合った賃金を支払っている。賃金は基本給、職能手当・職務手当・運行勤務手当・役職手当からなる基準内賃金と基準外賃金、割増賃金があり、基本給は本人の能力や経験などを勘案して決定する。基本給の支給額は、人事評価結果を参考に定期的に見直しを行っている。(2)高齢社員を戦力化するための工夫▼人事評価人事評価の評価者は、一般社員の場合、リーダーや管理職となる。仕事内容が事業所によってまったく異なることから、評価方法や基準の設定も現場にまかせている。各現場では、評価シートを用いて評価し、基本給や賞与の決定に活用する。またドライバーの場合には、上司が働きぶりを観察できないため、運転記録やデジタルタコメーターの運転データ、顧客からの声をふまえて評価を行っている。▼面談定期面談のほか、社員から要望があった際には、経営層との面談の機会を設けている。定期面談は半年に1回行っているが、社員が不安・不満を抱えていそうな場合はトップが声をかけて面談を行うこともある。入社間もない社員は不安を抱える人も多いため、採用の3日後、1週間後、1カ月後に状況確認の面談を実施している。▼能力開発同社では、「人間はだれしも原石であり、原石を磨く努力を続ければ、必ず道は開ける」という社長の信念のもと、若手から高齢者まで、年齢に関係なく人材育成に取り組んでいる。資格・免許は本人の財産にもなることから、資格取得を奨励しており、社員から要請があり、会社が業務に必要と認めた資格については、会社が資格取得の費用を負担する。なお、現在の業務に不要な資格であっても、会社にとって将来必要になると思われる資格についても、費用負担の対象としている。▼世代を超えたチームワークや軽作業、ピッキング、梱包作業など、いろいろな作業があり、高齢者を含むパート社員が活躍している。保管商品や保管施設、搬入・搬出の頻度などに合わせてチームを編成。チームは、基本的に持ち場と作業範囲が割り当てられているが、必要に応じてチーム同士で協力し合い、業務がスムーズに進められるよう体制を組んでいる。(3)雇用継続のための作業環境の改善、▼暑さ・寒さ対策を施した物流センターの建設(マイナス30℃)・冷蔵倉庫(0~5℃)、および食品の検品や一次加工の作業場。3階には常温倉庫を設置。社員が常時働く作業場になるピッキングエリアを2階に配置することで、作業効率を上げるとともに、外壁に特殊断熱塗装を施しており、庫内の温度が一定に保たれるため、冷房や暖房の使用を抑え、常に快適な環境を維持できる、身体に優しい作業場となってい物流アウトソーシング事業では、商品の保管健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み3温度帯の物流センターの1階は、冷凍倉庫26高齢者を含むパート社員が活躍している奈良中央物流センター五條運輸 株式会社

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