エルダー2022年10月号
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第4回39エルダー内田 賢(うちだ・まさる)東京学芸大学教育学部教授。「高年齢者活躍企業コンテスト」審査委員(2012年度〜)のほか、「70歳までの就業機会確保に係るマニュアル作成・事例収集委員会」委員長(2020年度〜)を務める。プロフィールタブレットやドローンなど、職場には次々と新しいものがあらわれます。その昔、製造現場の工作機械がNC(コンピュータ制御)化され、オフィスにワープロやパソコンが登場したときも、働く人たちの仕事のやり方に大きな影響を与えました。追いついていくのがたいへんと感じる高齢社員はいつの時代もいました。もっとも、最近登場する新製品や新技術は簡単に操作できるように開発され、高齢社員にとって「思ったよりも簡単」であることが多いようです。さまざまな知識や経験を持つ高齢社員がこれらを使いこなせれば、若手の及ばない質の高い仕事ができるようになります。高齢社員が最新機器を使う気になるように動機づけることが大切です。「使えれば仕事が楽になる」、「自分の強みをもっと発揮できて評価される」と思ってもらうことです。「いまさらやり方を変えたくない」と考える高齢社員の真の理由は、「新しいことを覚えられないのでは」という不安かもしれません。単にマニュアルを渡すだけではなく、実際の仕事の場面を想定して実演するなど、ていねいに教えてあげることが大切です。職場の若手に聞くのは恥ずかしいという高齢社員には外部研修も検討の価値があります。一方、高齢社員には「わからないことは素直にたずねて覚える」という心がけが求められます。技能伝承の場面では、技を持つ高齢社員がまだまだ未熟な若手とペアを組みます。高齢社員が新しいものを学ぶ際も、同じように両者がペアを組んで成功している会社があります。後者は若手が先生、高齢社員が生徒ですが、やりとりを通じて高齢社員の知恵を若手が学べる機会でもあります。両者の距離を縮め、チームワークが強固になることが期待できます。なお、高齢社員がどうしても新しいものを使いこなせない場合、使わなくともよい仕事に専念させるか、最新機種ではなく一世代前のモデルで対応している会社もあります。解 説マンガで学ぶ高齢者雇用集中連載高齢社員が新しい仕事のやり方を覚えてくれません教えてエルダ先生! こんなときどうする? 役職定年や定年後再雇用により、それまで務めていたポストを離れ、現場の一社員に戻る高齢社員は少なくありません。ところが、変化の激しいこの時代においては、数年現場を離れているだけでも、ICT機器の導入などにより、仕事のやり方が大きく変わってしまい、戸惑いを覚える高齢社員もいるようです。高齢社員が新しい仕事に対応していくためのポイントについて、東京学芸大学の内田賢教授に解説していただきました。内田教授に聞く高齢者雇用のポイント高齢社員に新しい仕事を覚えてもらうには動機づけが重要若手とのペア就労ならチームワークの強化にも期待がもてる

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