エルダー2022年10月号
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ペリーの密航の受けとめ方現■在■、私の胸を占めているすばらしい言葉がある。敗戦直後、ボロボロな身心になって復員した私のこころを奪ったものだ。 「落ちこんでいる国民を励ます言葉集」みたいな、拙速の本だったがめくって、ある一行に釘づけになった。思わず破って盗もうかと思ったが良心に制■められた。その一行とは、 「たとえ世界の終末が明日であろうとも、私は今日もリンゴの木を植える」というものだ。いい手は「コンスタンチン・ゲオルギュ」とある。ルーマニアの作家とあるので、別の云い方もある。このことは後に知ったがここでは略させていただく。いいたいのは、ぞ4うざんと呼んでいる)から教え 「この言葉が現在の世界の状況解決にピッタリだ」ということと、 「状況はもっとヒドい」ということだ。そしていま紹介している吉田松陰はまさしくゲオルギュのいう〝リンゴの木を植え続けた〟ということなのだ。 「アメリカを憎み、攘■夷■(外国を日本から追い払う)を実行するのなら、相手国の実態を細大漏らさず知らなければならない」と、師の佐■久■間■象■山■(生■地■ではられた吉田松陰は、下田港(静岡県)にきて、ちょうど錨■をおろしていたアメリカ艦に忍び寄った。そして、 「何だ?」と聞く通訳に自分の志を話した。通訳は誠実な男で、 「大使に話してみる」と、カピタン(艦長)室に行っ     ■■    ■■■■■■2022.1040[第119回]

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