エルダー2022年10月号
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務時間が長くなるそうです。同社では最年長となり、竹田プランナーは「橋本さんの働いている様子が周りに刺激を与えているようで、70歳を超えて働くことを希望する人が多くなっています」と、橋本さんの仕事ぶりが周囲の人に影響を与えていると話します。橋本さんは、釣りエサのオキアミやキビナゴ、イワシなどを、大きさや身の傷みの有無で選別し、決められた分量に計測する業務を担当。「私も釣りが好きなので、使われるときのことを考えて、よい商品をつくりたいという気持ちで作業しています」と橋本さん。また、「やりがいのある仕事で、働きやすい会社です。一緒に働いている人たちもやさしくて、私の年齢を気遣って、重たい物は『持ちますよ』といってくれます。みんなで世間話をして過ごす休憩時間も楽しいんです。だから、こんなに長く働き続けることができているのだと思います」と素敵な笑顔で話します。「年齢的に『辞めなあかんのかな』と思うこともありますが、家でじっとしていたら身体によくないですし、元気なうちはここに来て働いていたいですね」と続けてくれました。同社の就業規則は、以前は定年60歳、希望者全員65歳まで継続雇用の定めでしたが、竹田プランナーが2019(平成31)年に行った提案を受け、2022年度より継続雇用を希望者全員70歳までに引き上げました。また、70歳以降は運用により継続雇用しています。70歳以上の従業員が元気に働いていることから、竹田プランナーは、実態に即した就業規則への見直しを提案しました。継続雇用年齢の引上げ、あるいは上限年齢を定めず、一定の年齢以上の雇用に条件を設けるなどの内容です。運用ではなく、就業規則に定めることの意義について、竹田プランナーは次のように説明します。「明文化することによって、働く人にとっては将来の不安を抱くことなく安心して働くことができ、生産性の維持・向上につながります。よい仕事をしてもらうためには、労使の信頼関係の構築は欠かせません。信頼関係の証として、法規範性のある就業規則において明文化することはとても意義深いことと考えます。同社の場合、高齢従業員の働く意欲も高いので、継続雇用年齢の上限引上げや撤廃は実態に沿った就業規則の見直しであり、それほどむずかしいことではないように思います」提案を受けて、浜田社長はさっそく検討していきたいと答えたそうです。また、今後について、「つくったものには気持ちが表れます。これからも切磋琢磨しながら、心を込めてよいエサをつくっていきたいと思います。先代が創業してから、コツコツと努力を重ねてきて現在がありますので、これからもコツコツとがんばるのみです。従業員にとって働きやすい環境づくりを心がけ、長く働いてもらい、そのなかで、またいろいろな工夫を凝らしながら、釣りを楽しむ人々に向けて、これまで以上によいエサをつくっていきたい。目標は、それを続けることです」と語ってくれました。竹田プランナーは、「浜田社長の周りには、サポートしてくれる人や釣りに関することを教えてくれる人が大勢います。社長の人柄が自然に人を集めているのだと思います。私もプランナーとして、今後もサポートを続けていきたいと思います」と話しました。(取材・増山美智子)継続雇用年齢の引上げまたは撤廃を検討45エルダーエサの原料となるオキアミの選別作業をていねいかつ素早く行っていく最年長の橋本節子さん

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