エルダー2022年10月号
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定年後再雇用の嘱託社員の賃金は、同一労働同一賃金の観点から、役職定年前の賃金も比較対象になるのでしょうか役職定年後の減額の程度が小さく、定年退職後の減額幅を緩和する措置と位置づけられており、定年退職までの賃金体系において年功的性格が確保されている場合には、定年退職後に年功的性格を払拭して賃金を減額することが許容される余地があります。なお、比較対象は定年退職前の状況とされますが、定年退職後の業務内容が類似する労働者との比較も考慮されて判断されることになります。同一労働同一賃金について当社では、定年を60歳、役職定年を55歳に設定しており、定年後は嘱託社員として65歳まで再雇用することにしています。役職定年にともない賃金が若干低下するのですが、定年後には嘱託社員として賃金がさらに下がる設計になっています。定年後の嘱託社員の処遇について、役職定年前の状況と比較して同一労働同一賃金の観点から問題は生じるのでしょうか。それとも、役職定年後から定年前の状況と比較することになるのでしょうか。1「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下、「パートタイム・有期雇用労働法」)第8条は、「不合理な待遇の禁止」と題して、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との待遇について、不合理と認められる相違を設けてはならないと定めています。まず、短時間・有期雇用労働者と比較される「通常の労働者」とは、だれでしょうか。パートタイム・有期雇用労働法第2条が定める定義によれば、契約社員との比較においては、正社員が該当するというのが典型例といえます。とはいえ、単に正社員というだけでは、その範囲が広くなりすぎ、比較も困難になってしまいます。この点について、比較対象とする「通常の労働者」の範囲については、自身の労働条件と比較しようとするパートタイム・有期雇用労働者(通常、訴訟において原告となる労働者)が選択することができるとQ12022.1050弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。第53回 定年後再雇用と同一労働同一賃金、通勤手当の変更A知っておきたいA&A 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q労働法

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