エルダー2022年10月号
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銘木を使った伝統工芸の良さを多くの人に伝えたい出されるくらい密封度が高く、カンナでの調整が欠かせません。塗装も、木材の部位によって照りの具合が異なるため、組み立てたときに均一の色合いになるようにしなければなりません。こうした調整は、いずれも経験が求められる部分ですね」(晴芳さん)こうして手作業で丹念につくられる仏壇は、分解して傷んだ部分を修理し、再生することも可能。長年使用してきた仏壇の修理を依頼してくる人も多いそうだ。近年は工場で生産される仏壇が主流となり、伝統的な唐木仏壇のよさを知る人が少なくなりつつある。そこで岩田さん兄弟は、東京仏壇のよさを広めるためのさまざまな取組みを行っている。その一つが、現代の住宅事情に合わせた小さな仏壇の製作。冒頭の写真にも見られるような、小型でモダンな仏壇も製作している。また、伝統的な仏壇製作の技能を活かし、唐木材を使った箸やコースターなどの小物製作も行っている。「伝統工芸品のイベントで消費者のみなさんに直接販売したり、体験授業で子どもたちにつくり方を教えたりしています。こうした活動を通じて、唐木細工のよさを知ってもらい、ひいては東京仏壇の存在にも興味を持っていただければと考えています」(芳樹さん)2人は新商品の開発にも熱心だ。取材当日も、芳樹さんは位牌などを飾る厨■子■や遺影を飾る写真立てを、晴芳さんは箸箱を披露してくれた。「仏壇製作の技術を活かして、これからも楽しくものづくりをしていきたい」と話す2人。今後の活躍にも大いに注目したい。https://iwatabutsudan.llinfo.jocap/有限会社岩田仏壇製作所TEL&FAX:048(269)3500(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)63エルダー埼玉県川口市に工房を構えて30年以上唐木などの銘木を十分乾燥させ、木目や色などを活かして材料に用いる木取り、削り、貼り合わせ、面取りなど、さまざまな作業を行う工房晴芳さんの息子、隆さん(左)が3代目として、2人の技術を継承している扉に七宝焼の飾り板を施した小型の仏壇唐木などの銘木を使ったコースターやブレスレットなどの小物も製作

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