エルダー2022年11月号
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工場(社屋)を建設した。一方、少子高齢化や若者のお酒離れによる飲食店の減少を危機としてとらえており、2014年には病院や介護施設などにおけるリース着・私物の洗濯など、高齢化に目を向けた洗い物専用工場を建設するなど、現社長の目は常に時代の一歩先をとらえている。5%を占めている。最高年齢者は72歳である。2006年に初めて、当機構の高年齢者雇用アドバイザー(以下、「アドバイザー」)から、高齢者雇用に関するアドバイスを受けた。当時は60歳定年制を導入していたものの最高年齢者が51歳、平均年齢が35歳前後という比較的若い年齢構成であり、会社全体が高齢化に向かっている実感はあまりなかったという。しかし、アドバイザーから「多くの障害者を雇用する貴社においては、障害者の高齢化対策は障害のない人たち以上に検討事項が多いことから、早めに対策に着手することが望ましい」と助言され、障害のある社員も含め高齢化対策を真剣に考えるようになった。そこで翌年の2007年に「希望者全員65歳までの再雇用制度」を導入した。その後、少子高齢化・人材不足と急速に社会が変化していくなかで、同社でも若手の採用がむずかしくなり、中高年齢者の採用が急増する過程で、高齢化対策が現実的な課題となってきた。そこで、2021年より定年年齢や継続雇用年齢の引上げの検討を開始。2022年3月に、65歳定年、希望者全員70歳まで再雇用、その後も就業規則により一定条件のもと年齢上限なく再雇用する制度を導入した。(1)制度に関する改善▼定年制度・継続雇用制度「希望者全員65歳までの再雇用制度」を導入。その後高齢化が急速に進んだこともあり、2022年に定年・再雇用制度の見直しを行い、「定年65歳・希望者全員70歳までの再雇用制度」を導入するとともに、就業規則に「本人が希望し、会社が業務上特に必要と認めたときは、70歳を超えて雇用期間を延長することがある」と明記。一定条件のもと、年齢上限なく働ける仕組みとした。(2)高齢社員の意欲・能力向上のための取組み▼「わくわくチーム」の活動働きやすい職場づくりの中心的な役割を果たしているのが「わくわくチーム」の存在である。職場改善や安全衛生、人間力向上、新規業務の2007年に60歳定年後の再雇用制度である同社における高齢者雇用対策をはじめとした、企業の沿革・事業内容高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方改善の内容5おしぼり洗い作業の自動化やおしぼり巻きチーム」が精力的な活動を展開している。取り装置の改善、リーチリフト※の採用などによって作業の負担を軽減し、安全で安心な職場づくりを進めている。オーラは、2022年に創業60周年を迎えた。創業当時は自宅を作業所兼事務所として使用しており、手作業で仕上げたおしぼりを水戸市内の飲食店に納めていたという。競合する同業者が少なかったことや外食産業の急成長などが追い風となり取引先が順調に増え、受注も急増。事業は着実に拡大していった。2001年にはいわき営業所を開設し、レンタルマット事業や美容室・エステ向けレンタルタオル事業を開始するなかで、2008年に業務拡張のために新9※ リーチリフト……立って運転をするフォークリフトの一種。車高の高いフォークリフトと比べ、乗り降りをする際の負担が少ない会社外観ⅡⅡ1962年7月に設立された株式会社ヴィⅢⅢ社員数40人中、60歳以上の社員は23人で57・ⅣⅣ

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