エルダー2022年11月号
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かなポイントを伝えることができ、高齢社員のモチベーションの向上にもつながっている。これは日々の仕事を通して行われ、後継者が服飾全体の縫製指導ができるようになることを目ざしている。▼コミュニケーションの促進同社では、社員同士のコミュニケーションを通して、風通しのよい職場風土づくりを進めている。例えば、昼休憩後の30分間ミーティングでは、リラックスした雰囲気で注文服の今後の方針や、雑誌を参考にデザインの最新トレンドの情報共有、試作品の創作などを行っている。各々の技術向上を図るだけではなく、技能継承のためにも、社員それぞれが持つ特に優れた技を日々のミーティングのなかで確認しながら、新たな作品づくりや、注文婦人服や海外有名ブランドのスーツの分析・改良といった、互いに切磋琢磨する活動を行っており、それがモチベーションアップにつながっている。同社はこうした風通しのよい職場風土を定着させ、今後、社員が増加しても、この職場風土と完全フルオーダーメイドの自社製品に誇りを持って仕事に取り組んでもらいたいと考えている。また、技能継承のための取組みとして、職場のIT化にも取り組んでいる。匠である高齢社員の高度な技術の秘訣の見える化を進めるとともに、作業手順をマニュアル化するために、匠の緻密な手作業を作業ごとに細分化して、その画像と手順をデータ化。さらにミシンを使う際の強度やスピードデータを取り込むなど、IT化により匠の技のデータ保存や解析を計画している。なお2022年4月から、匠の作図した型紙情報のCADシステムへの保存を、若手社員を育成して内製化し、技術の継承につなげている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、▼転倒防止て社屋として利用しており、社員は2階の作業場で縫製作業を行っている。一軒家のため階段が狭く、特に高齢社員はケガなどのリスクが高い。そこで、廊下の両脇および手をつく箇所に手すりを、階段には滑り止めを設置するなど、つまずき・転倒の防止に努めている。▼照明や空調の配慮なるため、天井照明をLED照明に変更した。しかし細かな縫製作業では照度が不足すること健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み同社は、代表社員の2階建ての実家を改修し高齢者は明るさが不足すると眼が見えにくく30立ち作業・座り作業の双方に対応可能な作業台といす。レイアウトは適宜変更するなど、作業しやすい環境を常に模索している転倒防止のため、階段の両脇だけではなく上部にも手すりを設置合同会社 Syuhari

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