エルダー2022年11月号
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 のやしおし さろが提示する一定の労働条件などについて合意できる場合、運用により年齢の上限なく働くことが可能な仕組みとなっている。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み▼自らの技能を磨く定年前の社員は上長と個人面談を行い、その時点でのスキルを査定し、さらなるスキルアップを目ざすこととしている。▼期待する役割高齢社員の役割として、外国人技能実習生、障害のある社員や若手社員への技能伝承、一般社員の資格取得支援、目標管理(スキルアップ)支援、ペア就労(マンツーマン指導)などがある。また、高齢社員のノウハウやアドバイスをもとに作業手順書を作成している。一般的な作業マニュアルに比べ、わかりやすいと好評であるうえ、高齢社員により日々改定、改良されている。▼スキルの見える化年4回、技術系社員全員に技能習得目標を設定するための面談を実施し、それぞれのスキルアップの目標達成を支援することが高齢社員の役割の一つとなっている。個人のスキルと目ざしているスキルの習得が一目でわかるように、工場内に設置してあるボードへ訓練状況などを貼り出し(スキルマップ)、個々のスキルを確認しながら任せられる仕事を判断している。また、高齢社員のスキルも把握できることから、だれに何を聞けばよいのかが即時に判断でき、伝承しやすい環境も生まれている。▼コミュニケーションスキルの向上後進の育成には「伝える力」が求められることから、外部より講師を招くなどして年3回、職場コミュニケーションのスキルアップ講習を開催している。高齢社員が受講し、相手の話を聞く、受け止めるスキルをさらに伸ばしている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼職場の安全確保、作業環境のための取組み精密機械を扱う細かい作業が多いことから、働きやすい環境の整備と高齢化による視力の低下などによる労働災害を防止するため、数年をかけてLED照明への切り替えを行った。▼社員の健康管理のための取組み社員の体力づくり、健康への意識向上、また、ほかの事業所とのコミュニケーションを図る目的で、全社員とその家族が集まり、毎年運動会を開催。高齢社員も参加できるようにグラウンドゴルフなどの競技も用意される。現在はコロナ禍で中止となっているが、多くの社員が楽しみにしている行事となっている。(4)高齢社員の声現在は生産性向上のための取組みを推進している。新入社員の教育研修も担当しており、「研修後、社員が各工場に戻って改善活動に励み、成果を出している姿が見られることにやりがいを感じています」と話す。また、「定年延長により、65歳まで間違いなく働けることになったことに感謝しています。長く働き続けられるよう努めていきます」と今後の抱負を語る。証の仕事を担当し、取引先の信頼に応えている。「当社は、多種多様なものをつくっているため仕事が幅広くあり、常に刺激があることに魅力を感じています。まだ高齢者という意識はないのですが、まずは定年の65歳まではしっかり仕事をして、実績を残したいと思います」と意気込みを語る。勤続35年。ものづくり一筋で、主に溶接を担当してスキルを磨いている。工場長を務める第一工場では建築、自動車、船などの製品づくりを行っており、「設備投資をしてもらい、さまざ生産技術部部長の猪い八や重え正ま浩ひさん(61歳)は、品質保証部部長の遠と矢や佳よ巳みさん(61歳)は、本社第一工場長の二に宮み義よ人とさん(62歳)は、38若手社員への技能伝承の様子43歳で入社。つちかった能力を活かして品質保34歳で入社。工場長や総務の仕事などを経て、株式会社 南光

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