エルダー2022年11月号
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■■■ついて、景山プランナーは「グループ各社に先行して定年延長を行うなど、高齢社員の活躍推進に向けた意欲が強い会社です」と、同社の取組みを評価します。「工場生産と違い、すべての建設現場は天候・時間・制約において異なります。現場管理にはさまざまな経験がものをいい、責任者によって驚くほど費用に大きく差が出るのです。そのようななかで、豊富な経験とたしかな技術を持つ高齢社員は応用が利き、発注者の要望をくんで品質規格に合うものを造ることができる貴重な存在です。よって、職務配置などの変更などで起こりやすい高齢社員のモチベーション低下を防ぎ、能力を活かすことが、にない手不足解消と若手の育成につながると考えています」(三村社長)景山プランナーは2016年に初めて同社を訪れました。訪問当時について、「企業として売上増加や収益性の向上を目ざしており、三村社長が『その手段として人事制度の充実、特に高齢者雇用の拡充、そして社員満足度の向上を目ざしたいので、その具体的手法を相談したい』と話されていたのが強く印象に残っています」と景山プランナーはふり返ります。かねてから同地域の建設会社に共通する課題として、社員本人や成り行きに任せがちな人材育成・能力開発があると感じていた景山プランナーは、同社においても全社的な技術力の底上げや生産性の向上のためには、教育役のOJTトレーナーとして高齢社員の能力を活用し、活躍してもらうことが有効だと考えました。そこで、高齢社員にOJTトレーナーとして活躍してもらうために、「生涯現役職場管理者研修」という内容で、「就業意識向上研修」※を提案。2018年11月・12月に同研修を実施し、管理職6人(うち60〜64歳が4人)が参加しました。さらに社員の能力・職務内容を洗い出して等級をつくり、高齢社員が「何を教えるか」、「どこまで教えるか」をマニュアル化し、指導内容を明確にするための「見える化」を指南。同時に、昇給・昇格制度運用の明確化にも役立つ「職務能力評価基準書」の作成も提案し、具体的な職場改善対応につなげました。今回は、ペア就労でともに働く、OJTトレーナーの高齢社員と若手トレーニーのお2人にお話をうかがいました。設備部課長の山■内■勝■治■さん(65歳)は、工事現場監督員および主任技術者として公共工事の空調・給排水工事の施工管理を任されています。設備工事関連の国家資格を多数持ち、53歳でミテックに入社。同社に入社する以前も、設備工事の会社にて技術者として従事してきた、施工管理のプロフェッショナルです。ここ最近は、米子市役所庁舎の空調設備の増設工事を、同社に所属する若手技術者と2人で担当しています。庁舎内での工事になるため、土日祝日の閉庁日に施工を進めなくてはならない特殊な案件です。現場および仮設事務所において常時一緒に過ごし、実務を通して現場の施工方法や進め方を指導する日々が続きます。「現場で行う作業は若手に任せて見守るだけにし、後から気になっ高齢社員の能力をOJTトレーナーとして活用庁舎の設備工事においてペア就労で若手を指導2022.1150工事の施工管理で活躍する設備部課長の山内勝治さん※  「就業意識向上研修」の詳細は、当機構ホームページをご覧ください https://www.jeed.go.jp/elderly/employer/startwork_services.html

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