エルダー2022年11月号
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■■たところを教えています」と、若手の自主性を大事にした指導を行っているそうです。山内さんは、「若手社員が日ごとに成長していく過程を見られることが、いまの仕事の魅力です」と明かし、言葉は少ないながらも若手への期待と愛情をのぞかせました。そして次のように続けます。「施工管理の仕事は多くの人とかかわり合うので、大事なことは人づき合いだと思います。いまの現場で関係者ときちんとつき合うと、いつか別の現場で一緒になったときに、相手が大きな権限を持つ役割になっていることもあり、当社に好影響となることもあります。そうでなくても、一緒に仕事をして信頼を得ていれば、次の機会があったときに、現場の準備から何からうまく進むものです」将来を見据えた長いスパンで、若手社員にアドバイスを送っているようです。森響■さん(25歳)は、工事施工管理者として伸び盛りの若手社員です。これまで多くのベテラン社員からペア就労を通して仕事のやり方を学び、ペア就労の最後に山内さんと組み、工事現場の監督業務について指導を受けています。「山内さんは大規模な公共工事を専門で管理していて、手がけた案件のすべてで工事成績評定の点数が高く、優秀な成績を残されています。豊富な経験があり指示も的確なので、指導を受ける身として心強い存在です」と話します。工事書類のつくり方がわからないときや、工事の施工方法に悩んでいるときに相談すると、わかりやすく納得できる指示をくれるそうです。「いつも助かっている」という森さんは、山内さんを含む高齢社員について、「加齢による体調変化は人それぞれなので、自分の心身に嘘をつかず、無理のないように勤めていただきたいと思います。繁忙期には補助員がつくような体制があれば、高齢社員が心身ともに健康に働き続けることができるのではないでしょうか」と話し、大先輩の体調を気遣っていました。三村社長は、山内さんの仕事ぶりやペア就労の効果について、次のように話します。「ちょっとしたトラブルがあっても、山内さんが経験に基づいた適切な対応をしてくれるので、若手は安心して伸び伸びと働いています。年齢が離れていることもあり師弟関係は良好です。ペア就労は高齢社員による現場管理の負担を軽減できるうえ、高齢社員の高い技術・技能を若手に伝承することができます。工事の発注者から見ても、経験と技術力に長けた高齢社員がついていることで、施工面での安心感と信頼を得られているのではないでしょうか」最後に、今後の高齢者雇用の展望について三村社長に質問すると、「定年などにより役割を変更する際の高齢社員のモチベーションの維持と、能力の活かし方について、景山プランナーに相談していきたいと思っています。立場や役割が変わると、賃金、職務内容も変わり、モチベーションが下がる傾向があり、50代からキャリアプランを考えるよう、会社として取り組むことを考えています」とのこと。景山プランナーはこの課題に対して、ジョブ型雇用の導入を提案していました。プランナーと信頼関係を築き、そのサポートを取組みに活かしてきた同社。高齢社員の力を信じ、大いに活用するための試みが、今後も続けられていくことでしょう。(取材・西村玲)51エルダーペア就労で山内さんの指導を受ける森響さん

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