エルダー2022年11月号
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高齢社員の活躍を推進していくことは、ある意味では組織の新陳代謝を遅らせることにつながるという側面も有しています。例えば、組織内のポストが空かないことで中堅・ベテラン層のモチベーションダウンを引き起こしたり、あるいは高齢社員が仕事を抱えてしまうことで適切に技能伝承が進まない、といったことは典型例です。こうした問題を放置すれば、組織全体の生産性を低下させる事態に発展するおそれもあるため、高齢社員の活躍を推進していくことのマイナス側面として対策が必要なテーマであるといえます。以前、筆者の担当するクライアントのなかで、短期的には人材不足(特に中間層の不足)対策として高齢社員の活用を推進する必要がある一方、5年・10年単位の中長期で見ると、逆に高齢社員が増え過ぎて組織の新陳代謝に悪影響を及ぼすことが予想される、といった企業がありました。軸に短期的な高齢社員活用を目ざす一方で、組織の新陳代謝を図るために「役職定年制度」を導入しました。そのなかで、役割・職責が変更になる高齢社員に対しては、これまでと異なる多様な働き方の可能性を提示することで、シニア期のキャリアチェンジをうながしていくことにしました。   意識改革をうながすキャリア教育のポイントについて解説をしていきます。年制度を設けました。役職定年により管理職者は例外なく役職を外れ、現役のプレイヤーに戻ることになりますが、マネージャーとしてのキャリアが長くなっていた高齢社員のなかには、プレイヤーとして現場に戻ることに対して仮にA社としますが、同社では定年延長を引き続きA社の例をもとにして、高齢社員のA社では人事制度を改定し、55歳での役職定役割・職責の変更に備えてもらおう!2高キャ齢リ社ア員教の育意の識ポ改イ革ンをトうながす4第回1高新齢陳社代員謝のを活遅躍らがせ、る組こ織とのもある制度、生涯現役時代生涯現役時代のの仕組みづくり高齢社員活躍支援ののポイントポイント高齢社員活躍支援52※1 役職定年制度の運用に関しては『エルダー』2021年12月号特集(13頁)「役職定年のメリット・デメリット」の「解説1役職定年制の導入・廃止と評価・処遇制度」も参考にしてくださいhttps://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/202112.html株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 マネージングコンサルタント 森中 謙介 役職定年制度※1や定年再雇用制度によって「役割・職責」の変更を余儀なくされた 高齢社員のなかには、大きくモチベーションを下げてしまい、その後も十分にパフォーマンスを発揮することができない例も少なくないようです。第4回では、役割・職責が変わった後も現役のプレイヤーとして活躍し続けてもらうために必要な、高齢社員の 意識改革をうながすキャリア教育のポイントについて解説を行います。

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