エルダー2022年11月号
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持ち、設計から施工まで一貫してになえる数少ない存在である。40年以上にわたる経験のなかでつちかわれた技術力が高く評価され、「2013(平成25)年度荒川マイスター」、「2021(令和3)年度東京都優秀技能者(東京マイスター)」にそれぞれ認定されている。近藤さんが請け負う案件の約9割を修理が占めている。炉は一定の使用期間が経つと劣化するため、修理が定期的に発生するが、故障による依頼も多いそうだ。修理の依頼を受けると、まず図面をチェックし、必要な材料を積算する。築炉に用いる耐火材には、レンガやセメント、プラスチックの粘土などさまざまなものがあり、主要材料であるレンガだけでも用途に応じて複数の種類がある。数※の見積り。現場はスペースに「強度や断熱性など、それぞれの特性を理解し、最適な材料を選ぶことで、長持ちする炉をつくることができます」設計でもっとも肝心なのが、工かぎりがあるため、材料や廃材の搬入・搬出を考慮しながら、必要な人数と日数を割り出していく。施工では、レンガ積みの技能が重要になる。レンガに接着剤となるモルタルを均等につけ、すき間なく平らに積めるようになるには、やはり一定の経験が必要で、円形状にきれいに積めるようになったら一人前だそうだ。近藤さんがこの仕事で大事にしているのは、「お客さんに喜んでもらえる築炉」。そのために、常に長持ちする築炉を心がける。「修理のときは、真っ先に炉に入って、修理が必要になった原因を探ります。ある場所のレンガがせり出していたり、耐火材の表面の色が部分的に違ったり、レンガ材料や工数に関する知識と現場での施工技術に優れる62「美しい炉は長持ちします。ですから、レンガを整然と積むことを重視しますし、積んだレンガの表面にモルタルがついていれば、きれいにします」と、近藤さんは話す※ 工数……ある作業を完了するまでに必要な人数と時間を示す指標依頼の9割は修理。なかには事故によって破損した炉の修理も多くあり、原因を特定して後で改良のための報告書を作成することもある

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